ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

聖心合格のための勉強会

第424号 2014/2/14(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 父親のための勉強会「土曜ゼミ」に続き、2月9日には「聖心合格のための勉強会」を開催しました。午前・午後と2回にわたり行いましたが、この勉強会は、会員のみならず一般の方々にも開放し、聖心合格を目指すご家庭に正確な入試情報を伝え、きちんとした考え方で家庭学習をしていただこうと企画したものです。昨年から始めたものですが、昨年は参加者のほとんどが合格を果たしています。この講座を企画した一つの理由は、間違った家庭学習が横行し、子どもたちの伸びゆく芽を摘み取ってしまっていることがわかったからです。新しい体制になって工夫され始めた入試問題を、機械的な教え込みで解こうとするご家庭が多いこと、暗算能力を高め、入試対策のみならず小学校以降の学習にも備えることが必要なのに、「足の指でも何でも使っていいですよ」というような、まったく付け焼刃的な指導が行われていることを糺さないといけないと思い、この勉強会を企画しました。

第1回目の今回は、ここ10年間の入試問題を分析し、基礎固めの学習において何に力を入れたらよいのかを具体的に伝えました。ところで、小学校の入試においては、校長先生の考え方が入試問題に反映します。その意味で、現在の校長先生になってからここ5年間の傾向は、しっかり分析しておかなければなりません。特に4・4・4制の実施により、中学校入試を廃止したために、第2ステージに移行する段階での追加募集はあるにせよ、実質大学まで1回の入学試験しか行われないその大事な初等科の入試ですから、自ずからしっかりとした学力が身についているかどうかを見ざるを得ない状況にあるはずです。最近の入試問題を見る限り、これまで小学校入試の問題づくりをリードしてきた雙葉小学校と同じくらい、またはそれ以上に工夫された問題を出し始めています。そんな存在となったこの学校の傾向に合わせ、基礎学力育成段階でどうしてもしっかりと学習しておかなければならない課題があります。それは、次のようにまとめることができます。

  1. 「聞く力」を大変重視する学校なので、「話の内容理解」はよく練習しておくこと
  2. 鉛筆の持ち方を含め、「線の模写」「図形模写」「欠所補完」の練習は繰り返し行う
  3. かけ算の考え方の基礎である「一対多対応」と、その応用である「交換」の問題はしっかり練習する
  4. 数の内面化を図るために、「暗算トレーニング」は辛抱強く進める
  5. 図形問題が増えているので、今後の動向に要注意。特に「線対称」に関する問題が工夫されて出やすい
  6. 「一音一文字」「しりとり」「言葉つなぎ」「同音異義語」のように、ことばに関する問題が増える傾向にあるので、その対策を十分にとる
  7. 理科的常識問題は、かなり細かいことまで聞かれている

こうした分析に基づき、今回は、過去問の中から基礎的な問題を20問選び、それをボード化したものを使って、繰り返し練習していただく課題をお伝えしました。その内容は、以下のようなものです。

1. 未測量関係推理・個別単位
2. 位置表象位置の移動(地図上の移動・方眼上の移動)
3. 数私は誰でしょう・一対多対応(交換)・数の構成・数の増減・数のやりとり
4. 図形図形模写・欠所補完・線対称・鏡映像
5. 言語しりとり・言葉つなぎ・動詞の理解(同音異義語)・話の内容理解
6. その他理科的常識・ジャンケンを使った関係推理

今の段階ですべての過去問ができるはずはありません。基礎段階の学習が4月で終わりますが、そこまでの学習で可能な過去問を20枚選びそれを繰り返すことによって、入試で求められる力をしっかりと身につけていくことが大事です。

入試問題は特別な問題ではありません。将来の学習活動の基礎となる「考える力」が求められています。ペーパーのみの学習や、解き方を教え込んでしまうような学習では「考える力」は身につかないし、それどころか、幼児期の基礎教育の方法としても適切ではありません。入学後の学習活動を見据えて、正しい基礎教育を行うことこそが、合格につながる唯一の方法であることを肝に銘じておいてください。

PAGE TOP