ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

私立小学校入試総括セミナーを終えて

第376号 2013/2/15(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 2月10日の日曜日、午前・午後と2回にわたり、「2013年度私立小学校入試総括」のセミナーを行いました。昨年12月に行った「学校別分析セミナー」を踏まえ、小学校入試全体としてどうであったかを報告する会でした。セミナーは以下の内容で行いました。

「2013年度 私立小学校入試総括」 -女子校を中心に-
1. 入試日程
2. 倍率
3. 合否判定に関して
4. 学力試験の内容と傾向
5. 行動観察の内容と傾向
6. 間違った入試対策にならないように

今回のセミナーで一番伝えたかったのは、「入試問題がどのように変化したのか」という点でした。女子校を中心に、すべての学校の学力問題をトレーニングペーパー化し、その1枚1枚について、学校側の意図と、子どもにとって難しい点を解説しました。その中でも典型的な問題をプリントしてお渡しし、何が故に「考える力」が求められているのかを解説しました。そうした具体的な問題の分析を10校以上にわたって行うと、今の小学校入試の傾向がはっきりしてきます。2013年度の入試は、

  1. 「話の内容理解」で聞かせる話がだいぶ長くなり、また、質問も多様化している
  2. しばらくの間、あまり出題されなかった「四方からの観察」が、つみ木の問題を中心に、数校で同時に出されている
  3. 数の問題の減少傾向は続き、ペーパーで出される数の問題は、一場面の絵を使った「数の総合問題」として出題しているところが多い
  4. 一音一文字に関する応用問題が今年も多数出され、入試全体の傾向を作っている
  5. 図形問題を中心に工夫された問題が多く、今年は未測量の「個別単位」の考え方と、図形的センスをミックスした問題が特徴的である
  6. 一時期はやった「交換」の問題は、やや下火になったが、その根底にある「一対多対応」に関する問題は、やはり多い
  7. 問題自体は単純だが、作業能力を求める問題が多い。集中力を見ようとしているのではないか
  8. 行動観察は、自由遊びが少なくなり、課題を与えるものが多くなっている。しかし、自由遊びの要素がたくさん取り入れられ、集団制作をし、それを使って「ごっこ遊び」をさせるパターンが定着しつつある。

以上のようにまとめることができます。最近の問題を見ていると、「考える力」を問う問題が多く、ある学校で出された新出問題が、次の年に他校に波及することが良く見られます。こうした点を考えると、志望する学校の過去問だけをトレーニングするのでは不十分です。今入試全体としてどんな問題が取り上げられ、傾向を作っているのか。その意味でも他校で出された問題もしっかりやっておかなければ、完璧な対策にはなりません。「その学校で過去一度も出たことがないから・・・」といって、学習対象から除外するようでは、現在の入試対策としては不十分だということです。4月以降始まる過去問トレーニングも、そうした考えで始めなくてはいけません。そのためにも、実際の入試問題の分析は、しっかりやっておかなければなりません。

最後に今回、数校同時に出された、つみ木を使った四方観察の問題をここに掲載しておきましょう。

N校
 動物たちが、机の上のつみ木をまわりから見ています。このつみ木は、上のお部屋のつみ木を使って作ったものです。それぞれどのように見えるか考えてください。
  • それぞれの場所から見ると、どのように見えますか。右のお部屋から選んでをつけてください。
    1枚目が終わったら2枚目も同じようにやってください。

K校
 机の上のつみ木を動物たちが見ています。カタツムリから見ると、つみ木は左上の四角の絵のように見えます。
  • では、他の3匹はどのように見えるでしょうか。右から選んで、それぞれの印をつけてください。

R校
動物たちが、まわりから四角を見ています。それぞれの方から見ると、どのように見えるか考えてください。
  • ダイヤのお部屋を見てください。イヌから見ると、どのように見えるでしょうか。右から選んでをつけてください。
  • スペードのお部屋を見てください。絵のように見えるのは誰でしょう。をつけてください。
2枚目のペーパーを開けてください。また、動物たちが、まわりから四角を見ています。
  • ハートのお部屋を見てください。イヌから見ると、どのように見えるでしょうか。をつけてください。
  • クローバーのお部屋を見てください。絵のように見えるのは誰でしょう。をつけてください。

PAGE TOP