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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「ひとりでとっくん365日」スクーリング

第344号 2012/6/22(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 幼児期の基礎教育として何を学習の課題とすべきか。「幼稚園教育要領」を見ても、「保育所保育指針」を見ても、教育の課題が漠然としており、また、小学生のように教科書もない現状では、到達目標を明確にした問題集を出すことに大変苦労しました。「ひとりでとっくんシリーズ」100冊の完成に18年を必要としたのは、教室に通う子どもたちの様子を踏まえながら、修正に修正を加えて作ってきたためです。幼児期の学習課題を単元別に100冊にまとめたのは、こぐま会が最初でした。その後類似問題集がたくさん出されていますが、そのほとんどが、この「ひとりでとっくんシリーズ」を真似たものばかりです。ひとりでとっくんシリーズが、小学校受験を目指す方だけでなく、全国の皆さんに教科書代わりに使っていただいているのは、そうした作り手の手法が、子どもたちが物事を理解していく道筋に合致しているからに他なりません。ただ30枚のペーパー問題を並べただけでなく、30枚のペーパーを通して身につけていただきたい到達目標が明確になっているのです。だからこそ、上海で出版したところ、小学校の先生自らがその学校の入学を希望する保護者に、この問題集を使って学習してくるように伝えているのでしょう。

ひとりでとっくん100冊が完成した後、「ひとりでとっくん365日」を出版したのは、何を最初に学べばよいのか、どのような順序で使えばよいのかという問い合わせが殺到したためです。18年かけて作った100冊は、作り方からしてお分かりのように、最初から順序立てて作ってきたわけではありません。No.1の「点図形」から始まってNo.100の「逆思考」に至るまでの100冊は、教室での指導に必要なものから作っていった結果の順番であり、決してやさしいものから難しいものへと並んでいるわけではありません。その単元別の問題集に学ぶ順序をつけるとしたら、教室で学んでいる内容に合わせて整理するのが一番効果的だと考え、「ひとりでとっくん365日」を完成させたのです。この問題集の構成は、年中から年長に至る教室指導の「セブンステップスカリキュラム」に準拠しているため、家庭学習の順序性という点では一番わかり易いと思います。その上、「なぜ学ぶのか」「どこで子どもはつまづくか」といった保護者向けの指導書も完成させていますので、家庭学習の「教科書」としては使いやすいものだと確信しています。

ただ最近の教育相談を通して感じているのは、少し年齢を前倒しして使っているケースが多いということです。また、具体物やカードを使ってよく練習してから、このペーパーに取り組んでいただきたい旨が指導書に書かれているにもかかわらず、ペーパー学習だけに終始していて、「理解できないけれど、どうしたらよいか」「年中ですべて終えてしまったけれど次に何をやったらよいか」といった問い合わせや相談が増えています。ペーパー学習の前の、試行錯誤する時間を確保してもらうために、その後「ひとりでとっくん365日おけいこカード」を作りました。これは、ペーパー学習だけでは本当の「考える力」は身につかないという考えから作ったものですが、こうしたものを素通りしてペーパーにだけに偏っていくのは、大変危険です。

こうした問題集の作り手の想いをより発展させるために、このたび新設した大森校で、「ひとりでとっくん365日」を使って家庭学習を進めているご家庭に対し、多方面からサポートする「スクーリング」を定期的に行っていくことを考えています。家庭学習が正しく進められているかどうか、また、学習の成果としてしっかりと認識が定着しているかどうか。普段はお母さんもしくはお父さんと2人だけでの学習ですが、同じ年齢のお子さんと集団で学ぶ経験を身につけさせておくことも大事ではないか・・・そうした想いを解決するために「セミナー365&チャレンジテスト365」と題した、セミナーと点検テストを実施致します。また最近の傾向である、家庭学習だけで小学校受験の準備をされているご家庭を支援するための、受験に関する情報提供も併せて行っていくつもりです。大森校の成果を見て、将来は全国の書店を中心としたスクーリングも実施していきたいと考えています。子どもの学習と保護者の学習会をセットにした、新しい形の「スクーリング」です。東京近郊の皆さん、ぜひお集まりください。

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