週刊こぐま通信
「室長のコラム」合格カレンダ―連続講座が始まりました
第323号 2012/1/13(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

受験生の学習をサポートするために独自の指導を行っている「こぐま ひまわり会」 が、昨年12月18日の私立小学校入試結果報告会を踏まえ、一つのテーマについてより詳しく具体的にお伝えする「合格カレンダ―連続講座」を今年も開始しました。昨年は22回の講座を実施し、毎回大勢の受験生の保護者の皆さまにご参加いただきました。今年も毎月2回のペースで開いていくつもりでいますが、第1回目の講座は、今回39名の合格者を送りこんだ実績を踏まえ「聖心に合格させるための秘訣」をお伝えしました。(※1月29日(日)再公演決定)
ところで、私は日頃から受験指導の現場の人間には2つの専門性が必要であると考えてきました。
- 幼児期の基礎教育についての専門性を身につけていること
- 受験指導のプロとして、各学校の入試問題をはじめとした入試情報を分析し、それを保護者に伝える能力を有すること
- 合格カレンダー連続講座 第1回
「聖心に合格させるための秘訣」 - - 聖心に39名なぜ合格できたか -
- 39名合格の背景
- 新校長3年目で何が変わったか
- 出題内容の分析
- 最近5年間の問題傾向
- 行動観察で何が評価されるのか
- 合格のために何が必要か
情報が公開されていない小学校入試の現状で正確な情報を伝えるためには、情報をどう集めるかが最大の課題です。こぐま会では、受験日当日、大勢の受験生の皆さまに試験終了後教室に来ていただき、聞き取り調査を行っています。ひとりの子どもの聞き取りでは不正確ですが、10人~15人と聞き取っていくと大体判明します。それに、保護者の皆さまの情報や関係者からの情報等を集め、その学校の入試情報として整理し、公開してきました。今後は、学校側からある程度の情報公開は期待できると考えていますが、現段階では、こうした方法を積み上げるしか手立てはありません。噂話や業者側から意図的に流される情報、また、保護者を装って実は教室関係者が意図的に書くネット上の「掲示板」・・・こんなものを頼っていたのでは正しい判断はできません。毎年変化している「小学校入試」の現状を正確に把握することが、合格の第一歩です。それは、保護者の責任において行わなくてはなりません。その判断を手助けするために、「ひまわり会」では今後とも、正確な入試情報と正しい学習法をお伝えしたいと考えています。
さて今回の「聖心女子学院初等科」についての分析の中で、ぜひとも正確に把握しておかなくてはならないのは、最近5年間の問題傾向と、そこで求められている能力が何であるかということです。セミナーではこんな表を作ってお伝えしました。
「最近5年間の問題傾向」
未測量・位置表象 | |
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2008年 |
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2009年 |
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数 | |
2008年 |
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2009年 |
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2010年 |
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2011年 |
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2012年 |
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図形 | |
2008年 |
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2009年 |
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2010年 |
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2011年 |
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2012年 |
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言語 | |
2008年 |
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2009年 |
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2010年 |
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2011年 |
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2012年 |
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常識問題 | |
2008年 |
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2009年 |
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2010年 |
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2011年 |
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2012年 |
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「最近5年間の行動観察内容」
2008年 |
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2009年 |
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2010年 |
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2011年 |
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2012年 |
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新しい指導体制に移行するためにさまざまな改革を行っている学校の姿勢が、小学校の入試問題にまで反映し、ここ数年実によく練られた問題が多く出題されているということがわかります。自分で考え抜く「思考力」がどれだけ身についているか、作業への取り組み方がどうであるか・・・・私たちが「転移する学力」「転移する態度」と言ってきた、すなわち「レディネスがどれだけ備わっているか」という観点で考えると、実に見事な問題構成であると思います。4・4・4制の指導体制を確立するために、何が必要かを考えた結果の入試だったように思います。昨年の「言葉つなぎ」「鏡映像」「置き換え・交換」、そして今年の「テトロミノ」「置き換え」「運筆」等は、他校に波及する可能性のある良い問題です。また、特に小学校入試で重要な意味を持つ「行動観察」において、震災後にさまざまな視点で語られた「人と人との絆」の大切さが、今回は「協力する」という視点で問われていたのではないかと思います。こうした意味において、この学校を受験する・しないに関係なく、この学校の最近の問題を分析しておくことは、小学校入試全体で一体何が求められているのかを考える良いきっかけになると思います。