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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

答えの根拠を説明させる

2005/09/15(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川の学校では、すでに9月10日から面接が始まり、いよいよ入試本番の季節です。9月は、学校の説明会も毎週行われ、願書提出に向けた準備も忙しくなります。

 こぐま会の年長クラスも、今月からまとめの授業に入り、予想される問題のトレーニングを各領域ごとにテスト形式で行っています。11月スタートの時点では、本当に1年で仕上がるのか心配した子も大勢いましたが、10ヶ月たった今、知的にたくましく成長した姿を見て、驚くばかりです。学力試験を目前に控えた今、問われている内容がまったく理解できないという子は一人もいません。しかし、点数が取れない子が多いのはなぜでしょうか。2つの要素があります。ひとつは、スピード性の問題。もうひとつは、聞き取りの問題です。1回の指示を間違いなく理解し、要求されている答えを導き出す能力に、差が出るからこそ、得点差になって現れてくるのです。ですから、私たちのまとめの授業は、最初から最後まですべて指示はテープに吹き込んで聞かせています。そのトレーニングが、本番の試験で1点でも多く積み上げていくためには、どうしても必要なのです。また、10枚のペーパーをテスト形式でやったあと、1枚1枚丁寧に答えあわせをして行く場合も、単にあっていれば○で、間違えていたら×をつけるのではなく、まず最初に「どんな質問であったのか」を話させ、また「なぜそうした答えになるのか」をすべて説明させる方法を取っています。この方法を徹底すべきだと考えたのは、次の理由によるものです。
  1. 最近の入試では、同じパターンの問題はまず出されない
  2. 質問の形式が相当工夫され、言い回しを含め、本当に理解していないと解けない問題が多い
という傾向があるからです。これを克服するには、本当に「基礎学力」が身についていないといけません。自分で問題の意図を説明でき、答えの根拠も説明できてはじめて本当に理解したことになるわけです。ペーパー上で丸がもらえても、問題の意図がうまく説明できなかったり、なぜそうなるのか説明できない子が大勢いることを、今年も強く感じています。パターン化した練習から脱皮し、初めて取り組む問題を粘り強く解いていける力を身につけなくては、これからの入試には対応できません。そのためには、毎日何十枚とペーパーをこなすことではなく、1枚のペーパーをどれだけ深くやりこなすかということです。丸がもらえたから良いのではなく、その1枚のペーパーを通じて、どんな物の見方を身につけていくのかを考えながら、学習することが大事です。

この時期における基礎の点検は、問題をやさしくするのではなく、過去問や新傾向の入試レベルの問題を通じて、基本となるものの見方・考え方を再度点検していくことです。そのための方法として、「対話教育」を徹底することが必要です。

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