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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試直前1カ月間の学習対策

第262号 2010/10/1(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川県では面接も始まり、都内の学校も今日から願書受付が始まりました。これから都内でも面接が始まり、いよいよ入試本番です。多くの学校で10月中に面接が行われる関係で、11月本試験は日にちがずれていても、面接日が重なってしまい、併願できなくなるケースが増えています。昔と違って面接日の変更がほとんど出来なくなっているからです。なぜ面接日の変更を認めなくなってきているのか。その理由は明確です。第1志望かどうかの篩いにかけているからです。この問題は、同時に「補欠合格者の扱い」とも絡んでいます。今、多くの学校が補欠合格者の発表の仕方に大変気を使っています。従来のようにどの学校も同じような発表の仕方をしていません。補欠合格者の番号だけ掲示しなかったり、補欠に番号が付いていなかったり、A・B・C等のグループで出したり、2次補欠があったり・・・さまざまです。なぜそんな工夫をしなければいけないのか・・・それは、補欠合格者の動きが外部に分かれば、それが学校の評価につながりかねないと考えているからです。だからこそ、だれが第1志望で誰が併願かを見抜き、それを合否判定に反映させたいと考えているのです。今や大学が潰れていく時代です。小学校も経営体と考えれば、定員割れを起こすことはあってはなりません。また、将来を考えれば、学校の教育方針をしっかり理解し、学校運営に協力してくれる家庭、そして優秀な子ども(決して学力だけではありません)を集めたいのは当然です。4月の入学式直前まで補欠合格者の繰り上げ連絡をしなくてはならない状況をつくりたくないのは当然です。過去においては2月末に繰り上げ合格の連絡があったという例もありました。学校側の立場に立てば、「合格」を出した子にはぜひ来てほしい、入学を辞退されるような学校にはしたくない、・・・だからこそ第1志望なのかどうかの見極めをしっかりしたい・・・こうした想いがあるからこそ、面接日の変更が厳しくなっているのでしょう。試験日はずれているのに、面接日が重なり併願できなかった・・・というご家庭が今後も増えてくるはずです。

さて、入試直前1カ月間の学習をどのように行ったらよいのか、それをお伝えするセミナーを次のような内容で行いました。

残り1カ月にしておくべきこと
考査日をベストコンディションで迎えるために心掛けたいこと
1. 学習対策
 A) 5領域のまとめの仕方
 B) 常識問題の確認
2. 学習以外の対策
 A) 手先の巧緻性に関する諸問題
 B) 行動観察・面接に関する注意事項
3. コンディションづくりのノウハウ
 A) これから子どもに起こる深刻な問題
 B) 生活のリズムを変えない
 C) 子どもの立場で考える
 D) 入試をどう伝えるか
 E) 入試1カ月前 過去の成功例・失敗例

願書書きで忙しかったご両親がその忙しさから少し解放され、子どもと向き合う時間がまたとれるようになると、心配のあまりあれもこれもと難しい問題をやりすぎ、その結果子どもが自信をなくしてしまうことがよくあります。この時期、難問をたくさんやりすぎるのはあまり好ましくありません。最後の総仕上げですから、一番良い状態で試験が迎えられよう、コンディションづくりをどうするかを考えなくてはなりません。

  1. 体の健康管理だけでなく、心の健康管理をしっかり行うこと。周りの様子を感じ取り、子どもに相当プレッシャーがかかっているということを知っておく必要がある。
  2. 総仕上げで行う学習は、各領域の基本問題、および頻出問題を選択し、正確に理解しているかをさまざまな質問を通して点検する。
  3. 「自分はできるんだ」という自信を持たせる。特に母子関係を良好に保ち、自信をなくすような言動は絶対避けること。
  4. 毎回6~7枚のペーパーをセットにし、30分間のテスト形式でペーパーに取り組む集中力のトレーニングを、朝の時間を使って実行する。
  5. 総仕上げの課題は2つ。その一つは時間制限に対するトレーニングを積むこと。もう一つは、問題の意図を正確に聞き取る練習を行うこと。それには、同じペーパーを使って、考えうる限りいろいろな質問を工夫する。特に逆からの質問を重視する。
  6. 手先の巧緻性に関する問題や常識問題など、短期間で成果の上がる対策については徹底する。この2つは最近特に出題が増えている課題でもあるので、直前トレーニングには意味がある。すべての学校の常識問題を集めると、そこにはっきりと傾向があることが分かる。それをしっかり押さえて練習しておくこと。
  7. 口頭試問も含め、答え方を形式的に教え込まないこと。どんな場合でも、自分で考え自分で判断することを徹底すること。

この最後の1カ月間の使い方が合否に強く影響してきます。ともかく自信を持って本試験に臨むこと。これができるかどうかがポイントです。そのためには、入試まで同じリズムで生活すること。毎日の学習も、これまでと同じリズムで行うことが大切です。入試前だからといって時間を増やしたり、また、逆に勉強をほとんどさせず遊ばせたり・・・・・そのリズムの変化が、子どもの集中力を欠く結果になってしまいます。これまでたくさんの失敗例を見てきました。そうならないよう、今日から入試本番までの過ごし方をしっかり打ち立ててください。

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