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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

小学校入試を正しく理解する(2) 学校選びに必要なこと

第259号 2010/9/10(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 8月31日の第1回セミナーに引き続き、「小学校入試を正しく理解する」第2回目のセミナーを9月9日に行いました。今回は「学校選びに必要なこと」と題して、第1志望校選択について押さえておくべき大事な情報を、いくつかの観点でお伝えしました。

小学校入試における学校選びの基本は、学校の教育方針を理解し、その学校で学ばせたいという強い意志を持つことです。テスト結果を見て、「この成績でどこの学校に入れますか」といった考え方では決められない難しさがあります。中学校以降の学校選びは、模擬テストの結果をもとにその成績に見合った学校に・・・という発想が成り立ちますが、小学校入試はそうした考え方では決められません。学力だけで合否が決まらない特殊な試験であるからです。だからこそ、早い時期に第1志望校を決め、その学校の傾向に沿った対策を取る必要があります。

その第1志望校を決めるために、最低限知っておかなくてはならない事があります。いつどのような内容で入試が行われるのか、また、合否判定はどのようになされるのか、そして、その学校に合格するために、1年間どんな考え方で学習を進めればよいのか・・・そうした学校選びに必要な情報を、今年の日程、去年の結果等の具体的なデータを示してお伝えしました。案外知っているようで知らない情報がたくさんあるようで、皆さん熱心にメモを取られていました。お話しした内容は以下のようなものです。

小学校入試を正しく理解する(第2回)
「第1志望校選択と合否判定について」
1. なぜ小学校受験か
  • 第1志望選択に当たって考えておくべきこと
  • 学校側も第1志望の子を探そうといろいろな工夫をしている
2. 入試日程
  • 今年度と昨年度の比較
  • 日程表からは読み取れない大事なこと
3. 併願の方法
  • 2010年度入試にみる併願具体例
  • 併願する場合の学習対策の工夫
  • 神奈川の学校とどう組み合わせるか
  • 東京女学館小学校を併願する場合の問題点
4. 各学校の合否判定の方法
  • こぐま会で査定した各学校の実力公平度
  • 合格判定会議の実態
  • 女子校と共学校の合否判定の違い
  • ペーパーでの足切りのある学校
  • コネだけでは合格できない現実
5. 学校別入試対策
  • 最初から学校別対策の学習を行うのは大きな誤り
  • 基礎教育をしっかり受けたうえでの学校別過去問対策を
  • 1年間の学習計画(学校別合格カレンダー)

第1志望校決定と合格に向けた学習法、併願校の選定にあたり知っておくべき情報をさまざまな角度からお伝えしました。正確な情報を踏まえた学校選びをしないと、入試が終わった後「こんなはずではなかった」ということになりかねません。共学校の多くが今でも取り続けている関係者有利の実態が何であるのか、そして、それでもなお「実力」で臨むとすれば、その結果の受け止め方まで含めた覚悟が必要です。一方、実力主義であるがゆえに、多くの補欠合格者の動きがある学校側にとっては、一体だれが第1志望者で誰が併願での志望者なのかを知りうる手だてを工夫するのは当然です。補欠合格者の発表の仕方の変化にみられる学校側の思惑は、「補欠合格者の動き」がひょっとしたら学校の評価につながっていくのではないかという懸念を持っているからです。広く公平に、子ども本位に合格判定したのにもかかわらず、結果として辞退され、他校に流れてしまう生徒をどう未然に防ぐのか・・・だからこそ関係者を多く合格させれば・・・という議論になりかねない要素をこの問題は持っています。「学校選び」について立場を変えて考えていくと、そこに小学校入試が持つさまざまな問題点が見えてきます。

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