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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏の学習課題(3) 家庭学習を徹底し、基礎をしっかり点検すること

第252号 2010/7/16(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 先週の土曜日、夕方6時半から、父親サークル「第4回土曜ゼミ」を行いました。参加された40名近いお父さま方に効果的な「夏の学習法」をお伝えしました。今回はOBの方にもお越しいただき、夏の活用法について、きわめて具体的にお話ししていただきました。初めて参加された方々は異口同音に「こんなに大勢の父親が参加し、その熱心さに驚いた」とびっくりされたようでした。確かに最近は、受験対策を父親主導でされるご家庭が増えています。感情的になる母子関係を案じてか、かなり冷静に楽しく学習しているようです。受験を母親任せにしない傾向は定着してきたようで、子どもたちにとってはとても良い傾向だと思います。その後、8時過ぎから始まった懇親会では、グループごとに父親同士で活発な情報交換をされたようです。10時過ぎまで懇親会は盛り上がりました。

ところで、今回のセミナーで私は、受験生にとっての夏の意味を次のような観点でお話しました。

(ア) 基礎学力を総点検する
(イ) 過去問や難問をトレーニングする
(ウ) 生活の中で目標を立て、努力することを通して自立心を養う
(エ) 家庭学習を徹底する
(オ) 生活の中で行動を共にし、自然観察や社会的常識問題等を体験を通して学習する
(カ) 残り2カ月間に予想される子どものマイナス変化を未然に防ぐ

その中でも、特にこれまで学習してきた基礎がしっかり身についているかどうかを点検することの重要性をお話ししました。会員の皆さまに配布した「夏季家庭用学習教材」の中心である90枚近い「基礎学力点検ボード」の活用法をお伝えしました。またその中で、本当に理解しているかどうかを点検するために、次の3つの方法をお勧めしました。

(1) 答えの根拠を説明させる
(2) 逆からの質問にも答えさせる
(3) 保護者が答える側に回って、子どもに発問させる

特に大事なのは、(1)の答えの根拠を説明させることです。ペーパーでできているからといって安心してしまわぬように、本当に理解できているかどうかを言葉で説明させることが大事です。解らなくてもできてしまうペーパーがたくさんあるということを念頭に置き、「本当に解っているのかどうか」一度疑ってみる必要があります。逆から問いかけることも大いにやってください。そこで、問題がパターン化しないように、聞き取りをしっかりしなければ解けないということも伝えてください。

夏は講習会に出る機会も多いと思いますが、一番大事なのは家庭での徹底した学習です。時間的にゆとりのある夏こそ、子どもと親が向き合って、ひとつひとつの問題を深く多面的に学習していくことが大事です。たくさんの量のペーパーをこなすのではなく、1枚のペーパーを深く理解することが大切です。よく質問される1日の勉強時間も、個人個人の生活に合わせて考えればよいことですが、こぐま会ではこれまでの経験から「毎日最低3時間は行うように」とお伝えしています。合格した方から頂くアンケートの中にも、夏の生活について実に具体的な報告があります。その中の一例をここにご紹介しますが、本当に私たちがお勧めしたことを着実に実行され、その結果合格を頂いています。

<Aちゃんの一日(講習会がない時)>
6:00起床
学習の合間の休憩時間に
 縄跳び・自転車・ボールつき
 お絵かき・紐通し・紐結び

お手伝い
 昼食づくり・皿洗い・洗濯ものをたたむ・買い物など

午後の外出
 プール・図書館・児童館・博物館
 プラネタリウム・演劇&音楽の鑑賞・デパート・ピアレッテなど

家族団らん
 カルタ取り・オセロ・トランプ・すごろく・日記つけ
6:30 ラジオ体操
7:00 散歩(公園遊び)
8:00 朝食
9:00 学習 1(~10:00)
10:15 学習 2(~11:00)
11:15 学習 3(~12:00)
12:30 昼食
13:30 外出
17:00 学習 4
18:00 お手伝い
18:30 夕食
19:00 入浴
19:30 家族団らん
20:00 本の読み聞かせ・就寝

Aちゃんは受験した3校すべてから合格をいただきました。夏の生活については、私たちの助言を生かし本当に工夫されたようです。

(1) ラジオ体操と絵日記を毎日実行したこと
(2) お父さんとの毎日の散歩で、自然観察や社会的常識問題を楽しく学んでいる
(3) 1回の学習時間を45分とし、学習の合間にいろいろなことをさせ、集中力の持続に努めた事
(4) 午後は、積極的に外出し、遊びや普段できないいろいろな経験をさせた事
(5) 家族団欒時にゲームをしたり、本の読み聞かせを毎日実行したこと

特別なことをしたわけではありませんが、持続することはかなり難しいものです。しかし、このご家庭では父親も協力し徹底して行ったようです。実はこの「徹底さ」が受験には大事なのです。家庭ですべき最小限の対策もしないで、逆に毎日講習会に通うような他人任せの対策では、理解力は定着しないまま先へ先へと進んでしまうことにもなりかねません。教室で学んだことを定着させるためには、どうしても家庭学習の時間をしっかりと確保しなければいけません。長いようであっという間に 過ぎてしまう夏休みを有効に使うためにも、1日の学習計画をしっかりと立ててください。そして、机に向かう学習だけが受験対策ではないことを踏まえ、「よく学び・よく遊び」を実行してください。勉強ばかりの毎日で子どもらしい笑顔を無くしてしまったら、今の学校はどこも受け入れてくれません。

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