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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

中国でもKUNOメソッドが注目されています

第225号 2009/12/18(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 12月13日から15日まで上海に赴き、授業見学や講演会等を行ってきました。実は、3年前より上海で「こぐま会の教育理念」に基づいた幼児教室を現地の方と協力して開いてきました。第1号教室の成功を踏まえ、今回は新しく伊勢丹内に開く教室準備のために出向きました。2年ぶりの上海は、2010年5月から始まる万博の準備で活気に満ちていました。上海到着後すぐに提携教室での授業見学・保護者へのあいさつを済ませ、翌14日月曜日には、教室近くのホテルで幼稚園関係者に向けたセミナーを行いました。上海にも私立小学校の入試はあるようですが、提携教室はその対策教室というより「考える力を育成する」教室として支持されているようです。中国の一人っ子政策による教育への期待から、幼児教育への関心が相当高いようです。

上海の提携教室は、最初の1年間は上海少年宮の中で思考力育成クラスのひとつとして開講しましたが、2年目からは独自の教室を持ち、3歳から小学校低学年までを対象に、東京と同じカリキュラムで授業を行ってきました。いまや上海では思考力育成教室としては3大ブランドのひとつに成長したようです。上海の人たちの話を聞くと、幼児を対象とした「考える力を育てる」教室はほとんどないということのようです。計算を早く行ったり、記憶力を高めるといった「形」を教え込むプログラムは日本のものも含めてたくさんあるけれども、どうもそうしたものでは本当に思考力を育てる教育になっていないということを見抜いているようで、私たちの提唱する「教科前基礎教育」の内容と方法に関心を持たれているようです。

14日に行った幼稚園関係者を対象としたセミナーには、若い主任クラスの先生方が大勢参加していましたが、私の講演内容に対したくさんの質問が寄せられました。日本でもいろいろなところで話をしてきましたが、国民性なのか、日本人はあまり質問しません。しかし中国の人たちは、細かいところまで突っ込んで質問してきます。どこで講演してもいつも聞かれることは「教育の成果」という点です。受験が中心ではありませんから、どこそこに合格した等の説明では納得しません。やはり小学校以降この教育を受けてきた子とそうでない子はどこが違うのかを聞かれました。私は、いま実験的に行っている「ひまわりクラブ」での成果をお伝えしました。それは幼児期の基礎教育がしっかりできていれば、小学校3年生までの算数科の課題を1年間で習得可能であるということです。詰め込みではないかとの懸念も示されましたが、幼児教育との関連を伝え、具体的な授業内容や教材で説明すると納得してくれたようです。

上海の人たちが「KUNOメソッド」を支持してくれる理由のひとつは、「事物を使った教育」であるということです。決して「早ければ早いほど良い」という先走った教育を求めているのではありません。自らの力で考え、創造するということがとても大事だということは十分わかっているようです。その熱心さの表れなのか、日曜日夕方5時15分から始まる3歳児のクラスにも大勢の子どもたちが参加していました。日本ではとても考えられない時間帯です。国の枠を超えて、私たちが実践を通して開発してきたプログラムが活用されることを願っています。

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