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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

なぜ、年中からの父親の参加が必要か

第192号 2009/3/28(Sat)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会では、15年以上前から父親を対象とした受験セミナーを開催してきました。小学校受験で合格を勝ち取るためには、父親の理解・子育てへの参加・正確な入試情報の把握がどうしても必要だと考えたからです。その理由として次のようなことが挙げられます。

  1. 母親は噂話も含めて情報過多の傾向にあるが、それにくらべ父親のほうには正確な情報が入りにくい。その結果、学校選択や勉強方法について保護者同士で意見の食い違いが生じやすい
  2. 面接の際、父親に対し、子育てに関する具体的な意見を問うケースが増えている
  3. 母親の役割と父親の役割をはっきりさせることによって、子どもも精神的に安定して入試対策に取り組めるようになる
  4. 噂話で右往左往したり、暴走しがちな母親の精神的な支えを父親が担うことによって、良好な母子関係が確立できる

こぐま会の「ばらクラス」(年長児クラス)では、昨年から父親向け受験対策セミナーとして『土曜ゼミ』を開いてきました。大変好評で毎回大勢のお父さまが参加されています。そして、セミナー終了後の懇親会では、卒業生の父親を囲みながら父親としての悩み・戸惑いなどを共有し、「受験生の父親」としての自覚を深めているようです。

この「土曜ゼミ」の経験を踏まえ、今年は「第5回女子校合格フェア」(4月19日)において、4月に新しく年中になられるご家庭の父親を対象としたセミナーを開く予定です。4月から年中になるご家庭で小学校受験を考えているとしたら、今の時期から準備を始める必要があります。それは子どもに難しい問題や過去問を与えてやるのではなく、時間的ゆとりを持ち、ご両親がきちんと役割分担を確認し、これから受験生になるわが子を、どうサポートしていくかを考える必要があるということです。

小学校受験は学力試験だけで合否が決まるものではありません。ですから、教室に預けて指導を受けることですべてが解決するというわけではないのです。普段の生活の中で身につけておくべきことがたくさんあります。ある小学校の入学案内に「子育ての総決算として入試を受け止めてください」と書かれていましたが、まさしくその通りです。子どもたちを受け入れる学校側も、訓練されてきた子を好んでいるわけではありません。むしろ、受験用に訓練されてきた子を敬遠する傾向にあります。本当に身につくということは、教室での機械的な訓練ではなく、普段の遊びや生活の中で獲得していくものです。母親の呼び方をめぐって「ママ」ではいけないから「お母さん」と言うべきか「お母さま」と言わせるべきか・・・そんな議論はナンセンスです。身についていないものを試験用に訓練したところで、メッキはすぐにはがれてしまいます。また、行動観察をお行儀のチェックのように受け止めている方が多いように思いますが、これも間違いです。行動観察はお行儀のチェックではありません。自己表現力と、集団活動における人とのかかわり方が評価の対象になっているのです。その意味で、生活の中で学び、身につけてきたことが小学校入試で意味をなすのです。だからこそ「子育ての総決算」なのです。その子育ての方針をしっかり持つことが、家族全員で受験生をサポートすることにつながるのです。

間違った情報で、間違った受験対策をとることの最大の被害者は子ども自身です。親の間違った判断で、子どもの成長の芽を摘んでしまうだけでなく、子どもの心に傷を残すようなことがあってはなりません。その意味で、保護者の方に正確な情報をお伝えすることは、受験指導に携わる私たちの責任だと考えています。

入試まで1年半近くある年中の今だからこそ、じっくり構えて受験に取り組む方針をしっかり話し合ってください。そのためには、お父さま方に正確な入試情報を持っていただくことが、まず何よりも大切だと思います。

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