ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試終了後も、学習習慣の継続を

第171号 2008/10/24(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川ではすでに試験も終わり、合格発表もありました。都内の学校は11月1日より一斉に学力試験が始まります。これまで1~2年かけて準備されてきたご家庭にとっては最後のがんばり時ですが、あっという間に試験が終わり、結果がすぐに出てしまうと、「あれだけ頑張ってきたのに、これで終わり?」と、何か物足りなさを感じることさえあるようです。結果の如何にかかわらず、次への目標に向かってスタートしなくてはならないのに、試験が終わると目標を失ってしまい、心のどこかにぽかんと穴が空いてしまったような精神状態になるようです。

お母さんも子どもも、この1年間頑張って来ました。だからこそ、試験が終わったら「お疲れ様」「ゆっくりお休みください」と声をかけてあげたくなりますし、それで良いと思います。しかし一方で、せっかく身につけてきた学習習慣を試験が終わった途端に放棄することほど無駄なことはないと毎年感じています。

入試に向けて勉強してきたことは、決して入試のためだけではありません。数の概念も、空間概念も、論理的思考力も、また、話す力・聞く力もすべてこれから始まる教科学習の土台です。私の経験からいえば、少なくとも入試対策として学習してきたことは、算数でいえば小学校3年生までの学習内容をカバーしていると思います。たし算・ひき算・かけ算・わり算の記号を使った計算はしていませんが、それらの答えを導き出すための考え方の基礎や暗算はしっかり身につけてきました。一対一対応・数の増減・等分・一対多対応・数のやりとり・・・どれも大事な数の操作の基礎です。繰り返しトレーニングしてきたそうした課題を、小学校以降の教科学習につないでいけば、これまでの学習は大変意味のある学習であったことがわかります。毎年試験が終わると、パタッと学習をやめてしまうご家庭が多いものですが、試験が終わってから4月入学までの期間が「橋渡し」の時期として貴重です。その貴重な時間を活用する為に、ぜひ実行していただきたいことがあります。

  1. 朝の学習は続けてください。これまで身につけた学習習慣はとても貴重です
  2. 残ったペーパー問題は最後までやりきってください
  3. 考える力が求められる難問は、これからも思考力を鍛える貴重な素材です
  4. 暗算練習の延長で、+・-を使った計算は、方法さえ教えればすぐに可能です
  5. 入試では必要なかった文字の読み書き、文の読み書きは、自然と身についている子が多いものですが、意図的に扱う時期としては受験終了後が最適です。話す力・聞く力の延長に、読む力・書く力に重点を置いた練習をしてください

入試が終了して、すべてが終わりではありません。どこの学校に通うにしても、これからが本来の教科学習のスタートです。入試対策として行ってきた学習のおかげで、たぶん3年生ぐらいまでは大丈夫なはずですが、せっかく鍛えてきた論理的思考力を今後も鍛えていくことをおすすめします。「合格したから学習はもう十分」ではなく、これまでの学習を真に生かすためにも、新しい課題に挑戦してください。こぐま会では、新しいプログラムでさらなる「思考力育成」を目指し、学習を継続していきます。それこそが、幼小一貫教育の実践ということになるからです。

PAGE TOP