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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

補欠合格者の発表と合否判定

第170号 2008/10/17(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 37年間も受験指導の現場にいると、小学校受験に関する学校側の方針変更を数多く経験し、その都度対策を立てて対応してきました。試験日程・出題する問題の内容・試験方法・合否判定のあり方などさまざまですが、今思えば、その時代の考え方を反映した「方針の変更」であった様に思います。その中で最近特に感じるのは、「補欠合格者」の発表の仕方やその扱いについてです。

長い間、合格発表は指定日に学内の掲示板で公表するのが基本でした。掲示板で公表しない場合は、受験番号と引き換えに封筒を渡される場合もありました。掲示板で発表する場合は、当然正規合格者とともに、補欠合格者も番号(順位)をつけて公表されていました。そうした、公表の仕方が最近変わってきているのです。

  1. 補欠合格者は番号(順位)をつけないで発表する
  2. 掲示板には正規合格者だけ発表し、補欠合格者には電話や郵便物でお知らせする
  3. 補欠合格者に番号をつける代わりに、A・Bなどクラス分けをする。それぞれのクラスに何名いるか、またそのクラスでの順位などはわからない
  4. 補欠合格者は一切公表しない

なぜこうも学校によって違うのでしょうか。この点も他の上級校の入試と小学校入試が違う点です。補欠合格者は、定員割れで入学式を迎えるわけにはいきませんから当然の措置です。合格を出しながら、辞退される場合を想定しての補欠合格なのですが、一方で、順位をつけないで公表するということはどういうことでしょう。何番まで動いたかが外部にわかるとまずい理由があるのでしょうか。補欠合格の動きを「学校に対する評価」と受け止めているからなのでしょうか。

私たちは、子どもを送り出す側として「子ども本位の実力主義で合否判定をしてほしい」と主張してきました。一方で、私立である以上、関係者を有利にするのは当然だと言う意見もあります。子どもを受け入れる学校側は、学校の方針をよく理解したご家庭に入学してほしいと願うのは当然です。しかも、学力を維持するためにも、実力で子ども本位の合否判定をしたいと考えているのは確かです。しかし、実力主義で合否判定をした結果、多くの辞退者を出したのでは困ります。私の経験では、補欠合格がたくさん動くのは、実力主義で合否判定をしてきた学校に多く見られるのも事実です。

実力主義で子どもをとりたい。しかし、実力主義で合否を出すと辞退する方が大勢出てくる。それを防止するには、必ず入学してくれるご家庭の子どもをとりたい。そう考えると関係者が一番確かである。しかし関係者だけで固めては、開かれた学校として時代にそぐわないし学力も保証されない。そうであるなら、最低合格ラインを設定し、それをクリアした者について、定員のある部分は関係者で固め、ある部分は実力で取る・・・このように考えれば、「関係者枠」と「非関係者枠」があるといわれる理由がはっきりします。そこに「コネ」云々の噂が絶えない現実があるのかもしれません。実力主義の合否判定と補欠合格者の動きに何らかの関連があるとすれば、学校側の苦労もよくわかります。これからの入試では、誰が第1志望者なのかを見極めるために、願書や面接がこれまで以上に重視されてくると思います。

今年もまもなく各学校で入試が行われ、合格者・補欠合格者の発表があります。今年の補欠合格者はどのように公表されるのか、注意深く見守りたいと思います。

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