週刊こぐま通信
「室長のコラム」基本をしっかり
2005/06/23(Thu)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

入試準備は、やり方を間違えると保護者を異常な心理状態に追いやります。たとえば、「だれよりも早く、難しい問題ができるようになってほしい」と考え、そのためならどんな方法でもかまわない、と考える人たちが出てきます。入試の実体を何も知らないまま、難しいことをやることが受験対策だと思い込まされてしまうのです。だからこそ、年中から過去問をトレーニングするという間違った準備教育がはびこるのです。しかし、残念ながら子どもの思考の発達には原則がありますから、そんな間違ったやり方では、基本を身につけることはできません。入試間近になっても成績が伸びず、志望校に合格できないという結果になってしまいます。冷静に考えれば、だれもが当たり前のこととして理解できることが、異常な心理状態である母親には通じないということがよくあるのです。
基本をしっかり身につけてこそ、はじめての問題に自信を持って取組むことができる
難しいことばかりやることが受験対策ではありません。実際の入試問題をよく見てください。入試問題の8割は基本問題です。その基本となる問題の質が、今確実に変化し始めています。論理的な思考力がしっかり身についた子にしか正解できない、質の高い問題がこれからたくさん登場してくることでしょう。難しいことばかりをやり、基本となるやさしいことを軽視するような準備教育のもとでは、決して合格は勝ちとれません。