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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

父親たちのお受験

第159号 2008/07/25(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月12日に引き続き、19日の夜にも父親対象の土曜ゼミを開きました。セミナー後、軽食をともにしながら、懇親会を開きました。初めて顔を合わせる父親同士も、同じ境遇にあり、同じ問題に直面しているためか、話に花が咲き、いろいろ情報交換をされたようです。少しアルコールが入った後、参加者一人ひとりが自己紹介を兼ねて、セミナーの感想やお受験に対する個人的な想い・今直面している問題などを語ってくれました。

  • 最初は受験に反対したけれど、今は自分が中心に家庭学習を進めている
  • 実際の問題を今日解いてみて、こんなに難しいことに挑戦しているのかと思うと娘の置かれた状況が少し分かるようになった
  • ともかく楽しみにしながら通ってくれているので、それだけでも満足している
  • 子どもと母親が学習しているところを見ると、冷静さを欠いた母親に口出ししたくもなるけれど、自分としては母親の心の安定に努めることぐらいしかできないので、それを実行している
  • 志望校に合格できればそれにこしたことはないが、仮にだめであっても、この1年間の学習が無駄にならないようにしたい
  • 実は今でも受験をすべきかどうか迷っているが、自分の経験だけでは判断できないことも多いので、今は、妻と子どもを邪魔しないように、応援して行こうと思う
  • これから、願書添削や模擬面接練習など、大変なことがたくさん控えているが、自分が子どもや妻の足を引っ張らないよう努力していこうと思う
  • 受験について今でもわからないことが多いが、どの学校が良いか悪いかではなく、娘がやりたいことを一生懸命できる環境を整えてやりたい。これからの時代は「どの学校を出たか」ではなく、「何をしたいか」が問われると思う。そういう観点で学校選びをしたい
  • たくさんの学校説明会に出席しているが、プレゼンテーションの上手な学校と下手な学校があり、これはそのまま、日常の教育の質と関係あるのではないかと思う

この他にもたくさんのご意見がありました。一般的には、お受験は母親主導で行われることが多いものです。幼児教室を決めるのも母親、家庭での勉強もほとんど母親中心、困ったことの相談には乗るにしても、日常的な学習はほとんど見る暇もないのが父親の実情です。しかし、傍らにいながら父親としていろいろ考え、子どもの将来や母子関係のありようを相当心配していることが良く伝わってきました。地方出身で、受験は高校・大学しか経験のないお父さんにとって、お受験をどう受け止めたらよいのか戸惑いがあるのは当然かもしれません。既に経験済みで、2回目のお受験を控えた方からは、周りの噂などに惑わされないよう、アドバイスがありました。

懇親会での父親の話を聞いていると、やはり、情報不足やお受験に対する誤った理解が多いのを痛感します。正確な情報が届いていないとつくづく思いました。だからこそ、私たちが父親を対象としたセミナーなどに力を入れているのですが、たくさんの情報を一方的に伝えるより、実際の問題を解いてもらい、その問題の狙いや、子どもがどこでつまずくかなどを具体的にお伝えすることが、いかに大事かを痛感しました。繰り返しのペーパートレーニングだけではだめであり、まともな基礎教育がどれだけ大事であるかを、実感してもらえたのではないかと思います。

迷い、戸惑いながらも、父親として受験に前向きでありたいということがお話の端々から伝わってきました。私たち現場の教師にとっても、この懇親会は大変有意義な会になりました。これからも、定期的に行っていく予定です。

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