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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

新年度の授業が始まりました

第126号 2007/11/09(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 都内の私立小学校では大半の学校で入試を終え、合格発表が続いています。今年の入試の様子については、12月6日(木)に行う「私立小学校入試分析セミナー」でお伝えする予定です。受験した子どもたちからの問題の聞き取りもほとんど終えました。あとは数人から聞き取った問題のつき合わせと、模擬テストの結果と実際の合否との関係を分析して、「合否判定」がどのように行われたかを明らかにする作業が残っているだけです。

今年の入試はいくつかの点で注目していますが、子どもの学力と合否の判定がどのように一致するのかしないのか。もしそこにずれがあるとすれば、合否の決め手は何かをはっきりとさせておかなくてはなりません。従来と同じ方法で合否を判定しているのか、また、違う考え方で合否判定をしているのか。その中で、関係者がどれだけ優遇されているのか、・・・学力がありながら合格できなかった子どものどこに問題があったのか等を明らかにしておかなくてはなりません。

まだ聞き取った問題の分析が十分できていませんが、これまでの様子を見る限り、いくつかの学校については、問題が従来より易しくなっています。問題が易しくなると関係者が有利になるということが、これまでの入試ではしばしば見られました。はたしてそうなのか。別な観点が導入されたのか。そうしたことも含め、できる限りさまざまな観点で分析し、これから行うセミナーでお伝えしたいと思います。

ところで、入試はまだ続きますが、来年受験する子どもたちの授業が、6日から始まりました。これから1年間、合格を目指し、「教科前基礎教育」の充実に力を注ぐつもりでいます。今年の入試をよく分析し、学力以外に必要なさまざまの能力を、集団活動のよさを生かした教育活動の中で育てていきたいと思います。

受験した3~4校すべての学校に合格をいただいた子がいる一方で、模擬テストの成績がいつもトップクラスでありながら、合格をいただけなかった子もいる小学校入試の現状をどう理解し、それを今後の指導にどうつなげていくのか・・・毎年結果が出るたびに味わうこの不透明感を何とか払拭できないかと、いつも思います。

実力主義ではあるけれども学力主義ではないことははっきりしています。しかし、それでは学力以外に何が必要かという点になると、「これだ」とはっきりいえないもどかしさを感じます。そこに関係者云々という憶測が働くのですが、それだけで納得できるものではありません。行動観察や面接等が重視されていることはわかりますが、それぞれ違う家庭環境で育ち、その結果として現れる行動面の評価は、単純にお行儀の良し悪しとか、元気活発であるか否かだけではなさそうです。そこに学校独自の「好ましい子ども像」の観点が強く働くわけですが、学校側から評価の観点が公表されない現状にあっては、合格をいただいた子どもの1年間の授業中の様子を分析し、明らかにするしか方法はありません。しかも「好ましい子ども像」が、学内事情や校長交代等によって変わることがあるということが、小学校入試をよりわかりにくくさせている点でもあるのです。

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