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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎教育の充実を

第125号 2007/11/02(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 来年秋に受験する26期生の開講式を、10月30日に「こどもの城」で行いました。今年は例年になく大勢参加され、保護者の方々の意気込みを肌で感じました。毎年、授業がスタートする前のこの時期に、開講式を行っていますが、限られた時間で何を話したらよいのか、いつも悩みます。お伝えしたいこと、しなくてはならないことがたくさんあるのですが、時間がいくらあっても足りません。今年は「小学校受験をめぐる諸問題」についてお話しさせていただきました。学校選択や学習の進め方を考える際に必要な、学内の動き、合否判定に関する情報、最近の問題傾向など、さまざまな動きをお伝えし、「間違った受験対策」をとらないようお願いしました。

今、小学校受験をめぐって何が問題なのか。初めて受験を経験される方にとっては疑問なことだらけでしょう。

  1. 本当に子ども本意の実力主義なのか。昔からあるコネの問題は解決したのだろうか
  2. なぜ学力主義の合否判定にならないのか
  3. どんな学習をし、どこまで難しい問題の対策をとったら良いのか
  4. なぜ行動観察が重視されているのか
  5. 面接が重視される背景には何があるのか
  6. 新指導要領における「国語」重視の方針は、入試問題にどのように影響してくるのか
  7. 論理的思考力が重視される中で、どのような学習を積み上げていったらよいのか
  8. 入試本番では、初めて見る問題が多いと聞くが、その対策をどう考えたらよいのか

こうした点について、具体的事例とこれまでの指導経験を踏まえて基本的な受け止め方をお話ししました。その中で繰り返し主張したことは、「正確な情報」をまず持っていただきたいということです。小学校受験は、学校側から受験に関する情報が公開されないため、さまざまな噂が飛び交います。入試の実際とはかけ離れた根拠のない噂で、右往左往してしまったら、一番被害をこうむるのは子ども本人です。そうならないよう、入試の実態や子どもが物事を理解していく道筋をしっかり把握し、ゆとりを持って1年間の学習が進められるよう願っています。

20年以上も前から私たちが主張してきた考え方が受け入れられたのか、最近はペーパートレーニングのみの準備教育は少なくなり、事物を使った教育が当たり前になってきました。受験する子どもたちにとって、好ましい教育環境ができつつあるということです。子どもの発達を無視し、最初から過去問トレーニングや難しいことばかりを行う準備教育では、論理的思考力は育ちません。物事に働きかけ試行錯誤する中で解決していくその過程で、論理的思考力の芽が育っていくのです。

私は、35年間の指導経験をふまえ、幼児期の基礎教育を充実させることが、遠回りのようでも、一番有効な受験対策だと確信しています。どうかあせらず、子どもを信頼し、一歩一歩前進してください。

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