ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

入試直前の学習法

第119号 2007/09/21(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川の学校では面接も始まり、いよいよ今年の入試もスタートしました。都内の学校では、10月初めに願書を提出するとすぐに面接が始まります。保護者の皆さんは、願書提出の準備で忙しいと思いますが、家庭学習の時間はしっかり確保してください。また、季節柄体調を崩す子どもも増える時期ですので、健康管理もしっかりしなくてはなりません。

9月に入り「これから入試まで、何をどのように準備したら良いのか」「限られた時間の中で、どのような学習法でまとめをしたら良いのか」など、たくさんの相談を受けています。確かに入試1ヶ月前の学習は、これまでの2~3ヶ月に匹敵するほど効果的なまとめの学習ができる時期でもあります。入試によく出されるほとんどの問題を、これまでの半分以下の時間で解いてしまうことができるからです。9月に入った教室では、夏休みの頑張りが自信につながり、不安そうな表情も消え、最後のまとめの授業に取り組んでいます。

最近の入試問題は、パターン化したトレーニングで解ける問題ではありません。指示をしっかり聞き取り、何をどのように答えたらいいのかも含め、相当の思考力が求められています。同じような問題でありながら、質問の視点を少し変えるだけで、難易度を高めている学校も増えてきました。形だけのトレーニングではなく、本当に理解しているかどうかを試す問題が増えているということです。

そうした学校側の動きを先取りし、新しいタイプの問題をたくさん準備してトレーニングしてきていますが、ここではっきりすることは、形だけを覚えこんできた子どもはこうしたところで大きな壁にぶつかってしまいます。自ら考えて答えを出したのではなく、教えられたとおりにしかできないため、「どうして?」と問いかけても答えられませんし、挙句の果て「お母さんがそうしなさいといったから・・・」となってしまうのです。

それぞれの問題には確かに基本形があります。シーソーであれ、数の増減であれ、魔法の箱の問題であれ、数のやり取りであれ・・・・基本のパターンはあります。しかし、最近の問題を分析してみると、学校側は本当に理解しているかどうかを見るために、質問の仕方を変えてきています。たとえば、四者関係のシーソーは3場面で解けるのですが、それが5場面になったり、数の増減は最後がいくつになるかを考える問題でありながら途中の数を抜いてしまい、結果からさかのぼって抜けた数を考えさせたり(逆思考)しています。また、数のやり取りは同数からスタートしてやり取りするのが基本でありながら、最初から2人の数が違っている場面を作り、その上で数のやり取りをして2人の数の差を求めてきます。そうすると、「1個あげたら違いは2個になる」と教え込まれた子どもは戸惑ってしまいます。その時々の2人の数の変化を捉え、2人の数を比べて差を求めなくてはならないのです。

普段から、自分で考え答えを導き出すことをしていないと、筋道立てて考えなくてはならない問題はお手上げです。また、一度もやったことのない問題にぶつかったとき、解く手立てを自ら発見することもできません。これでは合格につながらないのです。

これまで何千枚ものペーパートレーニングをこなしてきて、本試験を待っているはずです。それだけトレーニングしてきても、実際の試験で課せられるペーパーはせいぜい6~10枚ぐらいです。それが、今までやったことのない問題であったとしたら・・・そういう不安を取り除く唯一の方法は、答えの根拠を子ども自身に説明させることです。私たちの授業では、それを多くの場で実行してきましたが、家庭学習で行うのが一番効果的です。何十枚ものペーパーを用意し、正解だからをつけて次の問題にどんどん進む前に、「どうしてそうなったの」という一言が大事です。そこで、しっかりと説明できる問題は本当に理解していると考えて間違いありません。どう説明したらいいのかごもる子ども、答えはあっているのに説明できない子どもは要注意です。

子どもに説明させるようなしかたで最後のまとめをするのには確かに時間はかかりますが、入試1ヶ月前の学習は、量ではなく質が問われます。きちんと理解させて試験場に送り出してあげるのが、大人の役割です。各領域ごとの典型的な問題の理解度を、根拠を説明させる方法でしっかりチェックし、入試本番に備えてください。

PAGE TOP