ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

出題者はどのようにして問題を難しくしているのか

第112号 2007/07/27(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 夏季講習会が始まり、朝8時半から夕方6時過ぎまで、教室内には子どもたちの元気な声が溢れています。秋の受験を控えた年長の子どもたちの中には、毎朝6時前に起床し、ラジオ体操を済ませてから、教室に通ってくる子が大勢います。夏の間に生活を朝型に変えておくことを勧めているのは、試験当日慣れない早起きで、調子が出ないまま試験を受けることにならないようにするためです。メリハリのある夏の生活を持続するためにも、ラジオ体操などを活用すると良いと思います。

 私も、毎日3こま(1こま1時間半)の授業に出て、子どもたちの学力をチェックし、応用問題を解く指導に当たっていますが、この時期になると相当難しい課題が解決可能になり、指導する私たちにも充実感が得られる毎日です。難しい過去問を指導しながら、子どもがどこでつまづくのか、また出題者の意図はどこにあり、もう一歩先の難しい問題はどんな問題になるのかなどを考えながら、今後予想される問題の指導にも当たっています。

 ところで、最近の入試問題は、設問等が相当工夫されていて機械的なトレーニングによって解決できるものが少なくなってきました。それとは逆に、論理的思考力を問う良い問題が多くなってきています。過去問を指導していると、出題者がどのようにして問題を難しくしているのかが良く伝わってきます。難問化させる方法をまとめると、次のようになります。

  1. 時間制限を厳しくする
  2. 問いかけの仕方を工夫し、いろいろ変える
  3. 場面を見せないで、お話だけ聞かせて質問する
  4. 余分な要素を入れて難しくする
  5. ペーパーに書かれている場面を、お話によって変化させ、その上で質問する
  6. 視点を変えて質問したり、逆から問いかけたりする

 こうした出題者の工夫に、子どもたちが柔軟に対応していけるようなトレーニングが必要です。時間制限をしたり、問いかけの仕方を工夫するというようなことは、だいぶ以前から行われていた「差をつけるための手法」ですが、最近の問題はそうした方法だけでなく、余分な要素を入れたり、一場面の絵を見せながらも、お話の進展によってそれを変えてしまい、その上で数の操作をさせるような問題が工夫されています。私たちが、応用問題の指導にあたりながら、「なぜこの問題で子どもたちが間違えてしまうのだろうか」と分析していくと、だいたい上記のような理由にぶつかるのです。そこに工夫された出題者の意図を感じ、「考える力」を重視していることがはっきりと伝わってきます。こうした出題者の工夫に対し、有効な対策を考えなくてはなりません。それが指導者の役割だと思います。

PAGE TOP