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週刊こぐま通信
「小・中・高 現場教師が語る幼児教育の大切さ」

vol.59「キッズBEE 2011 解答・解説」

2011年6月14日(火)
こぐま会小学部長 渋谷 充
 今週のコラムは、2011年5月22日(日)に行われたキッズBEEトライアルの解答・略式解説の速報をお伝えいたします。(取り急ぎ略式解説をつけましたが、よりエレガントなものができれば随時発表していきます)

[総評]
 第1回のトライアルが簡単だったために昨年度の第2回は難易修正が行われたと思われる。第3回は引き継いだ形で難易度は昨年度並だった。大問数は変わらず8問。第2回が図形の性質を問う問題がほとんどなかったのに比べ、第3回では折り紙、紐といった問題が目立った。
【もんだい1】は魔方陣。対策をとる上でも定番の設定だ。【もんだい6】【もんだい7】は受験算数では基本的な論理なので、早期に勉強していた生徒が得点できた問題であろう。根本的な論理は大切なものなので、いずれは知っていて欲しい解答手法だがキッズBEEの出題としては理念上疑問が残る。【もんだい4】は本当に簡単だがトライアルであることから妥当なのか。
【もんだい3】は「~番目」をつかった文章問題である。文章問題を勉強する上では小学1年生でかならず触れて欲しい内容だ。
【もんだい2】の折り紙の折る順番と【もんだい5】のひもの結びの問題は良質。機械的に解く方法があったとしても、できるだけそのようなものには頼らず何度も実験しながら理解して欲しい。【もんだい8】はこれも定番でありながら常に大切な、立体図形を利用した論理問題である。低学年の生徒には、算数の勉強をするうえでぜひ通ってほしい王道問題といえる。
全体を通して残念なのは、ゲームによる内容理解や場合の数などの設問がなかったことである。いつもどおり一問はリザーブしたいところだ。平均点は37点であり検査として考えても妥当であると思えるが、【もんだい6】や【もんだい7】のように正答率が低いからといって、対策をとるために受験算数を早めに取り入れてしまうようなことにならないよう注意したい。一方で最近ちらほら見るようになった【もんだい2】や【もんだい5】のような問題は単純でおもしろい。あたった、はずれたではなくしっかりと本質にいたろうとする過程を楽しんで欲しいと思う。ファイナルに進出した生徒は、より難しい問題であろうが試行錯誤することをぜひ楽しんできて欲しい。

[問題解答・略式解説]
 以下には各問の試行錯誤度を3段階で示している。

【もんだい1】 10

試行錯誤度 

右の図の青線枠の数字の和と赤線枠の数字の和が等しいことを考えれば
 8++6=4++?
ということになるので、?は10しかない。

【もんだい2】 (う) → (い) → (え) → (あ)

試行錯誤度 

折り紙のはじからはじまで折り線(山または谷)が続いているものを順番にえらぶことが答えとなる。ここで気をつけることは折ると紙が重なる部分ができるが、下の図の黄色の部分の今折られている線(例えば1回目は (う) )以外の折り目は山と谷が反対になって重なることである。
また、参考までにマスに記載されている数字は重なっている紙の枚数である。


【もんだい3】 15人

試行錯誤度 

3人にぬかれたがその後10人ぬいたということは、はじめの状態に比べ7人ぬいて3位になったということである。
つまり、最後の状態から合計人数を出すと、

3(たかしくんまでの3人)+7(ぬいた7人)+5(はじめたかしくんの後ろにいた5人)=15人

【もんだい4】 黒・・・4 白・・・5

試行錯誤度 

ぬいたカード以外をすべて並べているので、下の図のようにカードをぬかずに並べたときの状態から、問題のような配置なったことを考えれば一目瞭然である。


【もんだい5】 (1)・・・  (2)・・・  (3)・・・  (4)・・・×  (5)・・・×  (6)・・・×

試行錯誤度 

日常的に一般的な結び目(玉結び1回)の、結び目ができる構造の単位を巨視的に図示すると右のようになる。
まずは、出題されているひもの状態を簡略化してから、この構造の単位を探すのがよいであろう。
(簡略化においても生徒の想像力次第でどこまでも簡略化できるのできりがないことではあるが)

簡略化のポイント
(1)(2)の交差の仕方から、の部分で切って(切断箇所よりも紙面左側を残す)も同等の結果が得られる
(3)の交差の仕方から、ピンク色の部分は上へひっくり返しても同等の結果が得られる
(4)(5)の交差の仕方から、ピンク色の線を緑色の線に切り替えても同等の結果が得られる
(6)の交差の仕方から、ピンク色の線を緑色の線に切り替え、の部分で切って(切断箇所よりも紙面下側を残す)も同等の結果が得られる

機械的な手法は、紙面に単純化して表現しづらいため「通常授業」または「コラム」にてお知らせします。

【もんだい6】 (とい1)29回  (とい2)465

試行錯誤度 

(とい1)
まず、1から30までのすべての数字が2つで組になり、なくなるまでは30÷2=15で15回ならべかえることになる。その時点での数字は15個あるので15÷2=7・・・1で7回ならべかえて、8個の数字が残る。これを繰り返すと、8÷2=4 4÷2=2 2÷2=1   15+7+4+2+1=29

(とい2)
1+2+・・・+30=31×15=465

【もんだい7】 48cm

試行錯誤度 

大きな長方形のまわりの長さなので、右の図のように斜めの3つの長方形のまわりの長さの和が解答になる(もちろん右下がりの斜め3つ 16×3=48cm でもよい)。理由は右下の図のように、各辺 をまわりの大きな長方形の辺に配分できるからである。

【もんだい8】 ア・・・赤  イ・・・青

試行錯誤度 

右の図のような立方体を問題のように配置し、そこに番号をつける。(2)の上面であるアは明らかに赤。
まずは、下の図のように(1)と(3)の関係から、(3)の側面がピンク、青、黄、茶のグループとなり、特に(1)と接している(3)の裏にあたる部分はピンク、青、黄のどれかとなる。
次に右の図のように(2)と(3)の関係から接している(3)の左側面がピンク、青、黄であること、また(3)と(4)の関係から右側面が茶、青、黄であることがわかる。ここで(3)の左側面が青ならば右側面がピンクになるので、これは適さない。つまり、左側面はピンクか黄。さらに、もし(3)の左側面がピンクならば、裏面が茶色になるので(1)との関係からこれも適さない。よって、(3)の左側面は黄、イは青となる。


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