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週刊こぐま通信
「小・中・高 現場教師が語る幼児教育の大切さ」

vol.21「教育新時代の到来」

2010年8月27日(金)
学習塾 プラウダス講師 石原弘喜
 10年ほど前、小学校低学年の子どもを持つ保護者の方々に次のような質問をしたことがあります。

「一番お子さんにさせたい勉強はなんですか」

案の定、一番多い回答は算数でした。次に多かったのは漢字だったと記憶しています。「国語」と答えた方はほとんどいなかったことで、私は保護者が国語をいかに軽視しているかを改めて実感させられました。

国語が軽視されてきた背景には「日本人である以上、普通に生活していれば日本語は読めるのだから国語は自然とできるようになる」という考え方があったように思います。自然とできるのであればお金をかける必要はないというコストパフォーマンスの意識に根ざしています。

少し前に、ある幼稚園で国語について保護者の方々にお話をさせて頂く機会がありました。後日、出席した方々から頂いた感想からは保護者の方々の問題意識の高さが伺えました。特に国語の重要性について深い見識を示されていた方々が少なからずいたことに感銘を受けました。

確かに、その幼稚園には意識の高い保護者の方々が集まっているという事実もあるでしょう。しかし、絵本の読み聞かせの普及に端を発した国語の重要性の認識の高まりは、教育新時代の到来を告げている気がしてならないのです。

教育新時代の到来。その時代では、国語の本質を理解している保護者は必然的に幼小一貫教育へと関心を示します。実際、小学校低学年の国語学習に何をさせてよいかわからないという方々は多く見受けられます。とりあえず本を読ませたり、漢字を先取りさせたりしているのですが、それがベストだとは思っている訳ではありません。

流通している現行の小学校低学年のテキストはどれもよく練られていて、完成度の高いものばかりです。しかし、それらは高学年のテキストを低学年用に「縮めた」り「薄めた」りしているものがほとんどで、幼小期の子どもの思考に必ずしも沿ったものとはいえません。見方によっては幼小の現場を知らない「大人」の「観念的な優秀作品」ともいえます。

それはクルマに例えればハイオクのガソリンと同じで、良質の知識であることは間違いないのですが、幼小期はまだそれをいれる時期ではありません。「大人」からみて良質であったとしても、子どもからしてみれば学ぶというよりも「作業」のひとつになっているのです。

教育新時代では、幼小一貫教育が主役に躍り出ます。そして、その鍵を握るのが国語です。これまで「作業」であった幼小の国語から抜け出すにはどうしたらいいのか。教育新時代で先頭を走る保護者の方々は、その答えに気づき始めています。

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