週刊こぐま通信
「Primary English コラム」英語の理解力を深める―「落ち」を理解する
第7号 2005/08/25(Thu)
Primary English 代表 廣瀬亜利子
Primary English 代表 廣瀬亜利子

私が作ったオリジナルの話を2回続けて読み聞かせます。1回目は普通のスピードで、2回目は非常にゆっくり読みます。その後、質問に答えてもらうのですが、答え方は、口頭だったり書いてもらったり、あるいはその両方だったり、ケースバイケースです。オリジナルの話を使う理由は、各クラスの子どもたちがその時点で学習している文法(動詞の時制)やことばを自由に、確実に、取り入れることができるからです。たとえば2年目のクラスは動詞の現在形、3年目のクラスは過去形、そして4年目はその両方が混じっていて、5年目になると未来形も含まれます。質問は、話の最初から順を追って、その答えが必ず本文と一致するような聞き方をします。一人一問ずつ答えてもらいますが、答えられない場合は、その1~2文前あたりから、わかるまで何度でも読んで聞かせます。話の最後まで聞き終わったら、もう一度話を普通のスピードで読みます。
ところで、これを行うにあたっての一番のポイントは「暗記力」を養うことではなく、あくまでも「理解力」を深めることです。そこで、話の中にときどき「落ち」をつけるようにします:
“Last week I went to the theatre. I had a very good seat. The play was very interesting. I did not enjoy it. Two girls were sitting behind me. They were talking loudly. I got very angry. I could not hear the actors. I turned round and looked at the girls angrily. They didn’t stop talking. In the end, I said to them angrily. ‘I can’t hear a word!’ The girls said. ‘This is a private conversation!’
これは、あるとき4年生に読んで聞かせたものの1例です。この文章の中には、子どもたちにとって新しいことばも出てきます。たとえば、”loudly”, “actors”, “turn round” “private”などですが、これらについては、読み聞かせていきながら、その都度、動作や、別の表現を使って語句の説明を行います。 特にこの話は、ことばの意味がわからないと最後の「落ち」までは理解できなくて何がおもしろいのかわからないでしょう。なので、このときは、質問に答える作業もいつもより時間をかけました。そして最後にこの話の「落ち」を尋ねてみたところ、わかったのは6人中3人でした。あとの3人も、さらに2~3回読んだ後には「落ち」まで理解することができました。
話を、ことばの意味が完璧に理解できていても、深いところまで、「落ち」まで理解することはそう簡単なことではありません。だからこそ、あえてこのような課題を度々行うことで、少しずつ効果が表れてきます。