週刊こぐま通信
「Primary English コラム」ウォーミングアップでリズムと発音
第5号 2005/07/07(Thu)
Primary English 代表 廣瀬亜利子
Primary English 代表 廣瀬亜利子

英語は音楽的な言語です。強弱がはっきりしていて、とてもリズミカルです。それに比べて日本語はモノトーンな言語です。イギリス人の友人から、「日本語を聞いていると、まっすぐな横線に聞こえる。」とよく言われます。先日ある実験を行ってみました。さほど英語が得意ではない普通の日本人に、センテンスを自己流で読んでもらいました。ついたてを置いて、そのむこうでイギリス人に聞いてもらったところ、全く通じませんでした。 次に、アクセントのつけ方とリズムに気をつけて指導し、もう一度読んでもらったところ、今度はそのイギリス人にも完璧に理解できました。ちょっとリズミカルに強弱をつけると、それだけで英語らしく聞こえてくるということが証明されました。
そこで、私はこのことに着目して、”This is a balloon,this is a teddy bear, this is a cucumber, ...” などのセンテンス、をタンバリンを使って二拍子で軽やかに、リズミカルに言う練習を行うことにしました。 そのとき、balloon はlooにアクセントがくること、teddy bear, cucumberは、ともに頭にアクセントがくることなど、ことばのどこにアクセントがくるか、一語一語しっかりと指導していきます。
また、ウォーミングアップでの、もうひとつの重要課題は発音です。特に日本人にとってもっとも苦手とされているrとlの発音の区別をこのウォーミングアップ期間中に完璧にできるよう徹底的に指導します。
日本語のラリルレロはLに近い音なので、”rabbit, right,” などを発音してもらうと、どうしても”labbit, light, ”に聞こえてしまいます。”light”と”right”ではまったく意味が違ってくるので発音を間違えないようにしなくてはなりません。そのためにも習いはじめのうちにしっかりとrとlの発音の区別を教えておきたいのです。rは特にむずかしいので時間がかかりますが、次のように説明しながら何度も繰り返し練習します:
”ra”を発音するとき、“ラ”と言おうとしないで、どちらかというと“ワ”に近い音だと思って。自分が犬だと思ってみて。あなたは隠れて、むこうにいるうさぎに飛びかかる瞬間を待っています。ウーって唸りながらねらいを定めてワッと叫んで。今度は唸りを短めにしてゥワッ!て言ってみて。最後にbitをつけてもう一度言ってみて。
これで大抵の子どもは美しく”rabbit”と言えるようになります。それをより確実なものにするために、口の体操を行います。ゥワッ、ラ、ゥワッ、ラ、と何回も繰り返します。そうすると自然に二つの音が混じり合って、きれいな“ra”ができあがるのです。もちろん次の週に来たときはまた戻っているので、しばらくの間はこのようにして繰り返します。
発音練習はこの他にも”th” と”s“、“ar, er, ir”の区別を中心に、語尾の言い方など行っていきます。ここではご紹介できませんが、いずれもコツをわかりやすく説明すると魔法がかかったようにたちまちにして変わります。
しっかり身につけば、もう崩れる心配はありません。だからこそウォーミングアップ期間はとても重要なのです。