ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「行動観察だより」

インタビューごっこ - おともだちについてより知る -

第14回 2013/3/16(Sat)
こぐま会教務部長 廣瀬 亜利子
 今週は「お友だちになる」「お友だちについてより知る」をテーマに「インタビューごっこ」というゲームを行いました。ゲームのルールは :
「シールの台紙とドットシール1シートを各自持って教室を自由に歩き、お友だちに声をかけ質問する。相手が質問に答えてくれたら『答えてくれてありがとう』という気持ちを込めて答えてくれたお友だちの台紙にシールを1枚貼ってあげる。なるべく多くのお友だちに質問する。」というものです。

子どもたちの様子を見ていると、初めからお友だちにどんどん声をかけて質問する積極的な子どももいれば、質問しようという気持ちでいるものの、いつも相手に先に声をかけられ、どちらかというと「質問に答える」回数の方が多かった子ども、「何か聞いてみたいなぁ」という表情を浮かべて一人のお友だちの顔をじっと見つめている子ども、「みんな楽しそうだなぁ。でも私は無理。。。」とちょっと不安混じりの顔で皆の周りをひたすらぐるぐる歩き回っていた子どもまで、さまざまでした。しかし、どの子も、人から質問されたとことに対して比較的ハキハキと答えることができていたようでした。

みんなの活動を見ていて、今回ひとつ強く感心したことがありました :
ルール説明の中で、誰が誰にシールを貼るかについて、「『答えてくれてありがとう』という気持ちを込めてシールを貼ってあげてくださいね。」と話したのですが、子どもたちは実際、誰かに質問するたびに「答えてくれてありがとう」とていねいにお礼を言いながらシールを貼ってあげていました。そのような指示はしていなかったのですが、結果的に全員の子どもの口から自然に「ありがとう」のことばが出たのです。

「行動観察クラス」で行うすべての活動において、子ども同士が学び合う力を私は何よりも大切だと思っています。教師から教え込まれたものでなく、子どもがお友だちとの関わりを通していろいろなことに気づく力ほど確かなものはないと思っています。今回インタビューごっこでは、誰からともなく「答えてくれてありがとう」という声が聞こえてきて、それを心地よく感じた子どもは、質問する側になったとき「ありがとう」と伝えることで自分が受けた心地よさを相手にもぜひ与えたい、という気持ちが自然に生まれてきたのでしょう。ちょっとしたことばひとつで、相手を気分良くさせることができるのだということを無意識のうちに学んだのでしょう。気持ちが通じ合うことも漠然とながらも子どもなりに感じ取ったでしょうし、相手をより知ろうという意識も前より高まったでしょう。

また、今回は、質問してみることに重点を置いた活動でした。つまり、台紙にたくさんシールが貼られるというよりも、むしろ手持ちのシールが早くなくなる=たくさん質問できたということになります。
この年齢の子どもたちにとって、人からの質問に答えることはたいていできても、人に質問することにはあまり慣れていないのはごく一般的な普通のことです。しかし、人とコミュニケイトするということは、ただ質問に答えるだけという一方通行ではなく、「質問し答える」、両方通行であることです。このクラスの子どもたちは、少なくとも答えることはほぼ完ぺきなので、あとは人に何か聞いてみることに慣れてきたら両方通行もできるようになると思いシールの貼りかたを今回のようなルールにしました。「両方通行」もできれば「義務的に課題をこなす」ではなく、人について「より知りたい。だから何かについて聞いてみたい。」という気持ちが自然に生まれてくるようになってくれればという思いがありました。

初めのうちは受け身だった子どもも、自分にたくさんの質問をされているうちにだんだんと「ちょっと私もきいてみようかな」という気になってきた様子でした。不安顔だった数人の子どもも、すっかり霧が晴れたように、明るい笑顔を満面に浮かべてかなり積極的に質問できるようになっていきました。20分くらいのあいだに大きく変化が見られました。最後は、「じゃあ。このぐらいでおしまいにしましょう。」と終わりの合図を出すと、
「え~!?もっとやりたい!」とみんなから一斉に声が飛んできました。中でも一番せがんだのははじめのうち不安顔だった子どもでした。これもまさに子ども同士が互いに影響し合った結果だと思います。

たった20分程度のインタビューごっこでしたが、この経験は必ずこれから先のお友だちとのコミュニケーションの取り方にも良い効果をもたらすと信じています。今回の経験で、ただ単に、人に向かっていくことや質問してみることに「慣れた」ということではなく、
「人に質問してみることで、相手をより知ることができる」ということ、そして「それは結構楽しいことなんだ」と実感することができたのではないかと思います。

これから先、多くの人たちと積極的に関わって幅の広い視野を持った大人に成長してほしいと心から願います。

PAGE TOP