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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第4回「3段階学習法」
-試行錯誤の時間重要-

こぐま会代表  久野泰可
 小学生以降の学習では言葉を使うため、教科書とノート、ワークブックがあれば、授業はほとんど成り立つ。しかし、幼児期の子どもたちに、同じ方法で指導したらどうだろう。興味もわかず、集中もしないだろう。

しかも、子どもたちの認識を育てる学習活動にはならない。日本だけでなく外国でも、幼児の学習方法は、学校での教科学習のやり方となんら変わらないようだ。

私は、幼児期の基礎教育の方法には、従来のやり方の大転換が必要だと考えている。それは、子どもが生活や遊びの中で必要に応じてやっている「自己教育」の方法を採用することだ。

子どもは生まれた瞬間から、五感を通して外の世界を認識していく。繰り返し、繰り返し、ものに働きかけて認識を高めていく。この方法を用いるのが大切だろう。

例えば、「お客さんごっこ」を教室で行ってみる。粘土やおはじきを使って「分けたり」、「配ったり」することを意図してやってみることで、掛け算や割り算の考え方の基礎を身につけられるようになる。年齢が下がれば下がるほど、このような道具や品物などを使って認識を育てる「事物教育」が必要だと思う。

また、言葉を通して考える力を育てるために、言葉を交わしながら認識を深めていく「対話教育」を実践してきた。こうして、一方通行の「教え込み教育」にならないように工夫している。

こうした経験の上に、ワークブックを使った学習が初めて意味を持つはずだ。体を使い、手を使い、道具などを用いてみる試行錯誤の時間を経験させ、対話を通して、言葉による認識を定着させていく。そして最後に、同じ内容をワークブックで確認する。

こうした3段階学習法を、幼児期の基礎教育として提案している。

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