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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第3回「五つの領域」
-教科学習への橋渡し-

こぐま会代表  久野泰可
 「読み・書き・計算」のトレーニングに代わる内容をどう考えればよいか。教室に通う子どもたちの取り組みを検証しながら、年中から年長への2年間のカリキュラムを確立するまでに、20年の歳月がかかった。

数学者の遠山啓氏の提言を自分なりに解釈し、将来の教科学習へのつながりを考えて、主に算数と国語に関わる学力の基礎をつくろうと、五つの学習領域を決めた。その五つとは、「未測量(具体的な数値で表さない量)」「位置表象」「数」「図形」「言語」。

「未測量」での「量」の学習では、大きさ、多さ、長さ、重さの四つの量をテーマに、比較したり、相対化したり、系列化したりする学習から「論理」の基本を学ぶ。

「位置表象」では、図形学習の前提である空間の認識を育てるため、上下、前後、左右の基本となる位置関係を学ぶ。特に、視点を変えると変化する「左右関係」の活動に力を入れた。

「数」では、将来の四則演算につながる日常生活のことがらを、授業で再現してみる。例えば、食べたリンゴの数と残っているリンゴの数から、最初にあった総数を考えてみるなど。

おはじきなどを使って、子どもたち全員が数的体験を共有し、はっきり意識できるように指導する。こうして計算問題をさせずに、算数の基礎を支える考え方を育てていく。

「図形」では、貧弱な小学校の図形教育の枠を飛び出し、図形感覚を育てるために、さまざまな図形遊びをさせる。折り紙、積み木、粘土など昔からある身近な素材を使って、楽しく図形の基礎を学ぶ。

将来の国語教育につながる課題を「言語」のテーマとして、文字の「読み・書き」の前に、「きく」「はなす」「ことばあそび」の経験を豊かにし、国語力の基礎づくりを目指している。

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