ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第5回「算数の学力」
-数式立てる力こそ必要-

こぐま会代表  久野泰可
 どの学年でも、基礎学力を判断する場合に、算数の力が使われる。論理的に考える力が求められるからだろう。しかし日本の小学校の算数教育が、考える力を育てるプログラムになっているだろうか。

多くの場合、算数の学力=計算力と思われている。だから、計算力を高めるメソッドが注目される。それが幼児教育に持ち込まれると、徹底した計算トレーニングに走ってしまう。ある意味でその方が、成果が見やすく、やりやすいからだ。

しかし今の子どもたちの問題は、「計算力は高いが、文章題に象徴される応用の力が求められる問題には弱い」という点ではないか。それは、子どもたちのせいではない。プログラム自体に問題があるためと思う。

数式を立てるところを省いて、出来上がった数式を解く練習ばかりをさせられている。そうではなく、文章を読んで数式を立てることに、もっと力を入れなくてはならない。そこで幼児期に、生活の中のいろんな場面で、数の変化を捉えさせる経験が必要と思う。

例えば、掛け算の考え方が、足し算や引き算の考え方とどう違うのか。それを、具体的な生活場面で捉えさせるのが大事だ。私たちは、おはじきなどの教具やキャンディーなどを用い、「数を比較したり」「数の増減を考えたり」「ものを等分したり」「ひとまとまりにしたり」「数をやりとりしたり」・・・、こうした作業を積極的に体験させている。

子どもたちは、食べ物や生活用品、教具などを使ったやり方を通して、頭の中で数をイメージできるようになって、「数の内面化」(暗算)が促進される。

私たちが、幼児期の基礎教育として大事にしたいと思うのは、「計算力が算数の基礎ではなく、その計算を支える考え方を、実際の場面に即して学ぶ」という点だ。

PAGE TOP