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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第2回「考える力」
-学習を支える土台に-

こぐま会代表  久野泰可
 すべての教育の基礎を「読み・書き・計算」とするなら、「幼児期にこそ、それを徹底して行うのが大事だ」という意見が多数になるのは当然と思う。だからこそ、「小学校1年生の勉強内容を、年長児にも教えればよい」という考え方が支持されるのだろう。

これまでの遊びを重んじた幼児教育では、それすらもされてこなかったし、一歩前進かもしれない。しかし、「読み・書き・計算」を徹底することを、幼児期の基礎教育の中心としてよいのだろうか。

私がこれまで実践してきた教育は、それとは全く異質だった。「読み・書き・計算」を軽視してはいないが、大事な課題が他にあるのではないか。そもそも、学力の基礎とは何か。計算ができれば「算数が分かった」といってしまったら、日本の子どもたちの考える力はどうなるのだろうか。

そんな問題意識から、先人たちが残した幼児教育の理論や実践記録を読んで、独自に教育のプログラムを築いてきた。

「明日の授業をどうしようか」と悩んでいたころに出合った、遠山啓氏の「歩きはじめの算数」にある「『原数学』=小学校の算数教育を準備するための学習などの考え方」は、私の迷いを拭い去って進むべき道を示してくれた。

そして、幼児期に教科の中身を教えるよりも、その学習を支える土台をつくり上げるという理念を具体化する作業に、かなりの時間をかけた。

子どもたちの生活や遊びの中にある学びのチャンスを再現し、まず体を使い、次に事物に働きかける試行錯誤の時間をしっかり持ち、最後にワークブックで認識を定着させていく。

こうした子どもの理解の順序に合わせたプログラムが、幼児たちに必要なのではないだろうか。






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