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週刊こぐま通信
新聞連載コラム「幼児教育に新しい風を」

第1回「保育の現場」
-遊びだけでは不十分-

こぐま会代表  久野泰可
 待機児童をなくすため幼稚園と保育所を一体化させた「総合こども園」構想が、立ち消えた。子どもを預ける施設の監督官庁が違うと、教育の環境も異なってしまうという問題の解決が、また先送りされてしまった。

民間の教育機関で幼児の教育に40年間携わり、日本の幼児教育のあり方が改善されるように願ってきたが、40年前と何も変わらない現状に、いらだちや危機感さえ持っている。

幼保一元化、就学年齢1年引き下げなどの幼児教育についての問題は、議論されては消え、また議論され、その繰り返し。しかも今回の「総合こども園」のように制度的な改革が常に優先され、子どもたちに最も大事な保育の中身の議論が全く進まないのはどうしてなのか。

「幼稚園教育要領」などに掲げられる教育目標は漠然とし、現場の保育者が「何をどう教えればよいのか」という指針になっていない。

「小1プロブレム」のようなさまざまな問題を解決するために、小学校とのつながりが重視されて、自治体を中心に「幼小一貫」や「幼小連携」の方向が探られている。

しかし、「何をどう教えればよいのか」という具体的な目標がないままに、「小学校低学年で学ぶ内容を簡単にして、幼児期の指導内容として教えればいい」という乱暴な議論がなされ始めていると思う。

遊びを重んじた保育の重要さは認めるが、それだけでは、学力の基礎は育たない。そんな危機感からこの世界に飛び込み、私は今も子どもたちの指導にあたっている。

その経験から、「幼小一貫教育」の考えを具体的に展開した新しい「学びのプログラム」を、幼児教育に携わるすべての人々に提案したい。

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