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週刊こぐま通信
「合格者からのアドバイス」

合格者からのアドバイス(17)

2008/06/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可
受験を経験されてどんな感想をお持ちですか。どんなことでも結構ですから、これから受験される方にアドバイスをお願いします。

我が家にとっての最初の試練

 11月1日以降の受験を控え、前日の夕方娘が言った一言が忘れられません。この時点で2校親子面接を終えていました。娘なりに一校については面接がうまくいった自信があったようで、「あそこは面接がうまくいったから、ペーパー、簡単だったらいいな」
 まだ幼い娘に、いろいろ心配を懸けてしまっていることに気付き、本当に小学校受験という選択は正しかったのかという後悔の念や、自分のせいで娘が合格できなかったら娘に申し訳ないという不安が交錯し、非常に心苦しかったことを覚えています。
 受験を終え、幸い、娘は努力すれば報われるという経験と自信を得ることができました。しかし、その逆も十分あり得ました。小学校受験は、子どもの成長にとって挑戦する価値のある試練だと思いますが、失敗という大きなリスクを伴います。厳正な結果が出るという意味では、普通の試験となんら変わらないため、受験校の選択については、親の責任でしっかり対策を立てるべきです。
 我が家の場合、7月に2校程受験するというこれまでの方針を、少なくとも4校受験する方針に変更しました。その当時の模擬試験の結果や、我が家にとって小学校受験は初めての経験であり情報不足は否めないことや、いくら合格する力がついても、受験当日のアクシデントは起こりうることを想定したからです。頑張っている娘を見て、どこかに合格させたい、という思いもあり、幅広く受験することにしました。その結果、ペーパーだけでなく、目的意識を持って製作課題や運動課題に取り組むことになりました。
 合格をいただいた学校については、学校向けの対策やトレーニングが偶然うまくはまりました。我が家にとっては、特定の志望校や、そこに合格するための対策だけに取り組むのではなく、いろいろな学校を想定し、いろいろな勉強をさせたことが良かったようです。父親(私)は、小学校受験を当初は自らが経験してきた受験(高校・大学)と同じ感覚で捉えていました。すなわち、目的達成の為に、数ヶ月をかけて、しかるべき準備を綿密なスケジュールを立てて実行する、というものです。しかし、勉強するのは子ども自身であり、飽きさせずにいかにして勉強を持続できるかが大きな違いであることに後で気付きました。こぐま会の勉強内容はよく練られており、私自身は教えていて楽しかったのですが、娘は親が期待したほどには楽しめない様子でした。ところが、妻の助言で、8月から大好きな水泳教室に再び通い始めて(勉強のため一時中断していた)娘なりにリラックスする時間を持てるようになったことで,精神的に余裕が生まれたのか、急に学力が伸び始めました。振り返ると、これがターニングポイントだったように思え、妻に大変感謝しています。
 今、娘は長かった受験勉強から解放され、残された幼稚園生活を楽しんでいます。合格をいただいた小学校については、親子共々、大変気に入っており、小学校入学前に、娘が充実した小学校生活を送れるようにと親としてできることは何か、妻と話し合いつつ、それなりに緊張感を持って過ごしています。小学校受験で娘は精神的に大きく成長しました。幼いながらも、勉強に集中している娘の背中は、とても美しく一生私の記憶に残ると思います。また、家族全員でこの大きな試練に挑戦したことで、家族としての絆も深まりました。

 この文章は、お嬢さんと一緒に受験対策に熱心に取り組んだお父さんの感想です。私のクラスに在籍していましたから、お父さんの受験に対する熱心さにはいつも感心していました。毎週土曜日には、お父さんも授業後の説明に参加され、帰りには、学習法などをよく質問されていました。1年以上家族全員で受験を受け止め、合格を勝ち取ったケースです。このご家庭の経験からぜひ学んでいただきたいのは、小学校受験が高校や大学の試験と全く違った発想で行われていること、また、子どもに飽きさせずに勉強させるためにはスケジュールをこなすだけではいけないということです。このご家庭では、休んでいた水泳教室に通わせたことが、子どものやる気を引き出し、学力が伸びたようです。勉強一本の生活に絞りこんでしまうと、子どもの心の状態が悪化し、時間をかける割には効果の上がらない学習になりがちです。気分転換の意味も含め、好きなことをさせて心に余裕を持たせることの重要性も、読み取ってください。

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