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週刊こぐま通信
「合格者からのアドバイス」

合格者からのアドバイス(14)

2008/05/23(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可
 学校選択に関して、お父さまとお母さまの意見が合わないことがありましたか。それはどのような点についてですか。また、どのように解決しましたか。

父母の教育方針の違いについて

 私共の家庭では父親は大学以外は私立を知らず、母親は公立に行ったことがありません。父親は公立でもまれた方が良いと考え、母親はどうしてもキリスト教の学校に入れたいと考えておりました。従って、受験を決意したのも、教室や志望校を選んだのも全て母親の独断でしたから、最初のころは学校の話をしていても、いつの間にか自分の子ども時代の話になり、互いの育ちを否定し合うようなことが増えてしまいました。

 しかし、今現在娘が通う幼稚園のキリスト教教育が娘の心の支えになっているということに同意したのを突破口に、そういったキリスト教教育を受けさせたいという母親の想いにも賛同してもらいました。最終的には、第1志望校以外に、横浜以外の2校についても説明会や見学会で一度は学校を見てもらい、面接のためにと言ってその学校の良いと思えるところを探す努力をしてもらいました。今思えば、そのころ父親を説得する為に一生懸命考えた志望理由や学校の魅力、子どもがこの学校に合っていると思う理由などが、そのまま願書やアンケート、面接の内容につながっていたので、母親の受験準備(願書・面接)はそこでできたような気がします。

 父親がすべての志望校を見終えた頃には、こぐま会での授業や家庭学習による娘の成長も目にし、日々コツコツ真面目に課題に取り組み、教室に通う娘の姿を見るにつけ、父親としても合格に向けて面接では最善を尽くすと言ってくれるまでになりました。それでも、仕事が忙しい時期と重なり、なかなか母親のように多くの情報に触れて取捨選択をしている時間がないので、過去の質問とそれに対する答えの提案や説明を学校別にまとめたメモを作り、10月に入ってからはアンケートに関しては本人の案も書いてもらいました。その案をまとめるうちに父親の中でも私学に入れる意味(もちろん公立でもよいという考えに変わりはないのですが)について、納得の行く答えが見つかったように思います。
 結果については、「努力が報われて良かった」の一言です。姉が公立に通っており、そちらもとても良い学校なので、もうどちらになっても悔いはないという心境でしたが、父親も、「あの母親のエネルギーはすごい」と半ば呆れて言ってくれたので、私の努力も評価してくれたと思うことにいたします。

 学校選択をめぐって、どのご家庭でも起こりうる問題です。子どもの教育についての考え方は、自分自身が受けてきた教育が発想の原点となり、深く結びついています。同じような境遇で育ってくれば問題ないのですが、違った環境で育ち、また東京の教育の現状についての情報量が違う場合は、なおさら大変です。このご家庭のように、自身の子ども時代までさかのぼって話し合いをすれば、たとえ最初は互いの育ちを否定し合う話になっても、わが子の将来についてはどこかで一致した考えに到達するはずです。このご家庭は、お子さんの通う幼稚園のキリスト教教育に対する信頼や期待が一致点になったようです。

最初は反対していたお父さまが、いろいろな学校を見学したり、子どもの成長や母親の熱意を受け止め、全力を尽くすというまでにいたりました。こうしたご家庭はきっとたくさんあるはずです。最近では、個人面談にご両親そろってみえるケースが増えています。しかし話し合う中で、母親の持つ情報量と父親の持つ情報量とがあまりにも違い、その結果考え方まで左右する場合も出てきます。学校選択をめぐって、個人面談に見えたお二人が、私の前で意見を衝突させ、私が仲裁役をつとめたことも何度かあります。こうした経験を踏まえ、話し合いを持つ前提として、首都圏における教育状況や小学校入試の現状に関する情報を共有していただくために、こぐま会では以前から「父親講座」を設け、さまざまな情報を伝えています。

「なぜ小学校受験を目指すのか。」この問いには答えはひとつではありません。大学受験のためだけなら、何も小学校から私立に行かなくても・・・と考える父親が多いのも事実です。しかし、大学受験に有利になるようにと考え、小学校受験を目指すご家庭ばかりではありません。また、「公立に行かせたくない」、「中学校受験の厳しさを避けたい」といった消極的な理由だけではありません。「最初の6年間の教育を、良い環境の中で受けさせたい。その後は本人の意思も尊重して決めたい」と考えているご家庭が多いのも事実です。その良い環境とは、大学受験の際有利になるという場合も含まれます。また、キリスト教教育への期待や英語教育への期待など、さまざまです。ですから、私立小学校に通いながら、中学や高校で他校を受験するケースも増えています。

父親と母親が子どもの将来を考え、どのような学校選択をするのか、最初から一致しているご家庭は少ないと思います。父親と母親の意見が違うのは、当たり前だと思います。しかし、わが子の将来をめぐって、いろいろ話し合うことで必ず意見の一致を見ることはできるはずです。情報量を共有した同じ土俵の上で、いろいろな角度から、子どもの将来と学校選択について、よく話し合ってください。そのことがどれだけ貴重な経験になるのか、入試を終えた大勢の方から聞いています。

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