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週刊こぐま通信
「合格者からのアドバイス」

合格者からのアドバイス(11)

2008/04/25(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可
 来年受験される方に、どんな小さなことでも結構ですから、アドバイスをお願いいたします。

3月生まれの小学校受験を終えて

 両親ともに小学校受験が当たり前の環境に育った我が家にとって、娘の受験はごく自然の選択でした。とはいうものの、「ペーパーが好きで得意な月齢以上にしっかりした4月5月生まれのお嬢さんと、机に向かうことより外で走り回っていることの方がずっと好きな、天真爛漫な3月生まれの娘が同じ土俵に立ってはたしてチャンスがあり得るのだろうか。」「どう考えても非常に厳しい挑戦でありながら、どこの学校に行くにせよ何もしなければ差が開く一方とすれば、親としてはできる限りのことをしてやろう。」「我が家の場合は志望校合格がゴールではなく、就学前にしておくべきこと、これからの娘にプラスになるような経験をどんどんさせよう。」そのような想いで、この2年間を過ごしてきました。

 実際、ペーパーの出来だけではなく鉛筆を持つ時の筆圧を含めた手先の巧緻性、お友だちとのかかわり方や物事の理解度など約1年の月齢差は予想以上でしたが、かえってそこまで差があると親も開き直れるので、とにかく他のお子さんと比較しない、いかに娘に受験を意識させないかを常に心がけました。両親、祖父母も含め、娘の前では受験に関する話や特定の小学校の話は一切しない、お教室通いや日々の勉強はあくまでも「普通の人より早く、6歳になったらすぐに小学生にならなければならないちゃんが困らないためのお勉強」で通し、毎日が受験準備一色にならないように、バレエやピアノなど娘が好きなお稽古事にも積極的に取り組ませる。週末はお友だちや家族と一緒にさまざまなところに出かけ、思いっきり遊ぶような時間を持つ。そのように過ごしてきたせいか、緊張から無表情なお嬢さんが多かった試験当日も、娘は普段と変わらない素直さや、子どもらしさを発揮できたのでは、と思っています。

 試験が終わり、約2か月たちますが、我が家では娘に受験が終わったことは伝えておらず、登園前にペーパーをすることなど今までとほぼ同じ生活リズムで過ごしています。数ヶ月前は、どれだけ説明してもわからなかった問題をスラスラ解く娘を見ると、日々の成長を実感すると同時に、この月齢をすでに軽く越えていたお嬢さんたちと同じ試験を受け、今回たまたま合格をいただけたことが、いかに運がよかったかを改めて実感しています。

 現在の小学校受験において、月齢差を合否判定にどのように加味しているのかは、外部の我々にはわかりませんが、ほとんど考慮はないと考えた方が良いと思います。以前は、月齢によって問題を変えたり、合格者数の割合を月齢で決めていた学校もあったようですが、今はそうした話はあまり聞きません。実際、受験準備の1年間を見ると、月齢差が正解率に大きく影響する時期もあります。特に年中の3月ごろまでは、月齢による理解力や行動力の差は目に見えてはっきりしています。ただ、私たちの経験では夏休みを過ぎた9月ごろは、ほとんど月齢差を感じません。12月~3月生まれの子どもたちも頑張り、理解力も相当伸び、模擬テストによる成績順位も大きく変わってきます。ですから、年長の秋の時点では月齢による差はほとんどないと考えた方が良いと思います。そのことがわかってきたからこそ、小学校側が、問題を変えたり人数枠を設けるということをしなくなっているのではないかと思います。

このアドバイスを寄せていただいた方は、入試のためだけでなく、就学前の基礎教育という観点で学習をとらえていたからこそ、月齢差のハンディも冷静に受け止め、勉強一本の生活にしてしまわなかったのだと思います。だからこそ、入試がおわっても同じリズムで生活し、朝の学習も同じように続けられているのでしょう。数ヶ月前に苦戦していた問題が、すらすらできるようになったという事実こそ、子どもは日々成長している証であるし、そこが幼児教育の素晴らしさだと思います。受験対策を特別な教育と考えず、まともな基礎教育こそ合格への最大の近道であるということを皆さまにも知っていただきたいと思います。

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