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週刊こぐま通信
「合格者からのアドバイス」

合格者からのアドバイス(10)

2008/04/11(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可
 来年受験される方に、どんな小さなことでも結構ですから、アドバイスがありましたらお願いします。

受験で大切なこと

 毎朝、制服を着て、バスと電車を乗り継いで登校する兄の姿を見て、「お兄ちゃんはいいなあ。私も」と自らの姿を幼い頃から重ねていた娘の受験は、想像以上にプレッシャーのかかるものでした。
娘は、ばらクラスから入会し、この一年、こぐまオンリーで頑張ってきました。塾、テスト、教材、すべて「こぐま会のみ」ということです。非常に負けず嫌いで、頑張り屋の娘にとって、完璧なカリキュラムのもとで、毎週こぐまで教わることは、新鮮な興味であり発見でした。幼稚園に行くよりも楽しみにしていたくらいです。
 しかし、小学校受験においてもっとも大切なのは、家庭での教育の在り方ではないでしょうか。これはペーパーをこなすことだけではない、ということは誰もがわかっていることでしょう。我が家でも、もちろん相当数のペーパーをこなしました。でもそれ以上に家族の一員としてのお手伝い、親子で楽しくクッキング、工作やお絵描き、娘が興味を持ったことに気長につき合う時間を大切に考えました。
 また、生活が受験一色になり、精神的にも追い詰められることのないよう、「ピアノ」という逃げ場もつくりました。娘は年少の時からピアノを始めたのですが、先生の推薦もあり、年長から専門コースに進みました。しかし、週二回のレッスンはかなりハードで、夏休みを過ぎた頃から、毎日ピアノの練習にあてる時間がもったいない、この時間に皆はペーパーをやっているのに、という焦りが頭をよぎることもありました。でも、ピアノの練習が娘にとっては息抜き、ストレス発散になっていたようで、ピアノがあったからこそ、息切れすることなく試験日当日を最高のコンディションで迎えられたのだと思います。そして実はこれは親の口実、逃げ場にもなっていたのでした。もし受験で思うような結果が出せなくても娘にはピアノがあると、自分に言い聞かせ、必要以上に力がはいりすぎるのを制止しておりました。
 ここまで、きれいごとばかり並べてきましたが、実際の私は、必ずしも良い母親ではありませんでした。こんな小さな子どもにたいへんな要求をしていることを百も承知の上で、厳しく叱ることも多々ありました。ひどいことも言いました。それでも、母子の関係は日ごとに良くなっていったのです。それは、娘と毎日寝る前に、その日一日のことをしっかり話し合ったからです。娘は、私の気持ちを理解し、そして、私の思いをすべて受け入れました。雙葉の面接で「お母さまのどこが一番好きですか」と聞かれ「笑顔です」と答えてくれた娘。その答えに「あなたの笑顔もとってもとっても素敵ですよ」と答えてくださった先生には、私たちの親子の絆がよく伝わったのだと思います。これから受験される皆さま、受験で子どもをダメにすることのないよう、そして、突っ走りすぎることのないよう、親子の大切な時間を過ごしてください。

 難関校を突破したお母さんの苦悩と決断を読み取ってください。実際、受験に関係のないお稽古を継続すべきかどうかについての相談が毎年何件かあります。半年くらい休むのがほとんどですが、中には今回の例のように、ピアノに限らずバレエなどのお稽古を続け、秋の発表会まで参加し、受験にも合格した例はたくさんあります。学習時間の点で確かに不利な面はありますが、残された時間を上手に活用し、集中力を高め、合格につなげた例を沢山見てきました。
小学校受験は、ペーパーテストの点数だけで合否が決まるのではありません。生活すべてが試験の対象にもなるし、行動面や物事に取り組む意欲等も評価の対象になります。その意味で受験に直接関係ないお稽古事が意味を持つ場合もあるはずです。子どもが元気にかつ意欲的に学習に取り組める環境をどうつくるかという点で、参考になるご意見だと思います。

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