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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

年中から始める小学校受験対策

第853号 2023年4月21日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は、この4月で創立40周年を迎えました。日頃の教育活動に対するご理解とご支援に深く感謝いたします。恵比寿を拠点に40年間実践してきましたが、この間5,000名を超える子どもたちを、私立・国立小学校に送り出してきました。また、全国の230を超す書店「こぐまオリジナル教材」を取り扱っていただいており、私たちが教室での実践をもとに開発した教材を大勢の皆さまに家庭学習用としてお使いいただいています。長年の指導経験を踏まえ、教育内容と教育方法を「KUNOメソッド」として確立し、日本のみならず、海外の幼児教育施設にも導入されています。東京では、幼稚園受験や小学校受験という現実がありますが、受験だからこそしっかりとした教育理念をもって指導し、将来の学びの基礎と、主体的に学ぶ姿勢をしっかりと身につけていただきたいと願っています。

マスク生活を余儀なくされたこの3年間。私たちが大事にしている対話教育や子ども同士の話し合いが非常に難しい状況の中で、教育を止めない努力をし、無事受験生を送り出してきました。現在、マスクを外すお子さまが大半を占めるようになった授業では、子どもの表情がはっきりと読めるようになりました。これまで目の動きと声のトーンだけを手掛かりに、子どもの心の状態をつかみながら集団での教育活動を行ってきたことが、いかに日常とかけ離れた事態だったかを痛感します。

コロナ禍でありながら、小学校受験を目指す子どもたちは微増を続けてきました。英語教育の低年齢化に触発されて、幼児教育に対する関心が高まり、低年齢化が進んでいます。それに影響を受けてか、小学校受験をする子どもたちの準備開始年齢も年々下がりつつあります。生まれた瞬間から教育は始まっていますから、それは決して悪いことではありません。しかし、年齢が低ければ低いほど、教育方法を間違えると取り返しのつかないことが起こります。特に受験が絡んだ教育は、目に見える形での成果を求めるばかりに、「教え込み」の指導に走りがちです。子どもの成長発達を無視した教え込みの教育は、子どもたちの伸びゆく芽を摘み取ってしまうことになります。受験を目指して意図的な知育を行うことは大変意味のあることだと思い、幼児期の基礎教育の動機づけとして「受験のススメ」を訴えてきました。しかし一方で、受験には光だけでなく影の部分も存在し、そこで異常な事態が進行していることも知っておかなければなりません。

  1. 物事に働きかける事物経験をさせないで、ペーパーを使った学習のみに終始する
  2. しかもそれを低年齢のうちから行うために、教え込みの教育が横行する
  3. 基礎から応用への道筋を無視し、難しいことばかりを課題にとりあげる
  4. 親が見ている前で子ども同士を競わせ、学習の結果に賞罰を与える

子どもの発達を考えたときに、ありえない教育方法が受験には必要だと叩き込まれ、疑問を感じながらも従わざるを得ないのです。特に情報が公開されていない中で、間違った教育が行われています。合格さえすれば、どんな方法でも許されるといった雰囲気が支配的です。しかし、その中で失われていく大事なものがたくさんあるということを、しっかり受け止めてください。最近の低学年の子どもたちの学力が落ちていると、現場の先生方からよく伺います。数年間にわたって受験に向けて勉強しているにもかかわらず、私立小学校の低学年の子どもたちの学力が落ちているということはどういうことでしょうか。原因は一つではありませんが、理由の一つに、受験勉強の仕方が間違っていたと考えざるを得ません。自ら考えるチャンスを与えず、知識を教え込むことでわかったつもりにさせてしまうやり方は本当に身についた力にはなりませんし、学びに向かう主体性が失われてしまっていると考えるべきです。その意味で、小学校受験の「合格」をゴールにしてしまってはいけないのです。将来の学びの基礎をしっかり身につけ、そのうえで小学校受験に挑戦すべきです。

こぐま会では、「教科前基礎教育」「事物教育」「対話教育」を40年間実践してきました。幼児期の基礎教育を徹底しながら、合格を目指す方法で受験指導をしてきました。最近は2年間、特に年中4月から本格的に時間をかけて受験準備に取り組むご家庭が増えています。しかし、その最初から過去問に取り組むようなやり方では、子どもの考える力、主体的に学ぶ姿勢は身につきません。事物教育を徹底し、五感を使った物事への働きかけによって「物と物との関係づけ」を自ら構成していくような学びが必要です。試行錯誤する時間を大切にする教育で、伸びしろのある子に育ってほしいと願っています。年中からの受験準備は、幼児期の基礎教育を徹底するという考え方で臨んでください。


5月3日(水・祝) 10:00~11:30 セミナー開催!
「年中から始める小学校受験対策」
講師:久野泰可

+「質疑応答」の時間を設けます
皆さまのご質問に、こぐま会代表 久野泰可がお答えします。
 小学校受験に向け、多くのご家庭が年中からの2年間を本格的な準備に費やします。そして早いうちから過去問ペーパーに取り組む様子が見られます。しかし、何の具体物経験もないままペーパーだけで行おうとしても、考える力は身につきません。子どもの発達段階に合わせた学習を、内容の系統性をふまえ正しい順序で積み上げていくことが大切です。 本講演会では、来年度以降の受験を目指す皆さまに、「小学校入試で合否が分かれるポイント」や、お子さまの学びに向かう姿勢を育て、思考力を高める「正しい受験法」をお伝えいたします。
【対象】年中児以下の保護者様(お子様を連れてのご入場はできません)
【日時】5月3日(水・祝) 10:00~11:30
【会場】恵比寿本校
【費用】無料
 お申し込みはこちらから
(こぐま会インターネットお申し込みサイト)

同時開催! GW講習会「合格対策スタートチェック」(対象:年中児)



 重版決定!! こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

読み・書き・計算はまだ早い!

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
  • 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
  • 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
  • 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
  • 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ
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