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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎学力点検テストの結果から見えた、子どもたちの学力の現状

第854号 2023年4月28日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年9月から始まったセブンステップスカリキュラムの授業も、ステップ4までの基礎学習が終了しました。4月最初の授業では、応用段階に入る前の総点検として「基礎学力点検テスト」を行いました。これまでの学習で何が理解できていないのかを具体的に明らかにし、志望校合格を目指すために何を今後の課題にしたらよいかを一人ひとりにお伝えしています。

今回行ったテストは、以前のコラムでお伝えした通り、領域ごとに大事な問題を取り上げ、どこまで理解できて、どこから理解できていないかを分析しました。

テストの内容は以下のとおりです。
1.未測量シーソーの四者関係
2.未測量個別単位(広さくらべ)
3.未測量言葉による関係推理
4.位置表象方眼上の位置と移動
5.位置表象交差点の曲がり方
6.位置表象四方からの観察
7.数あまりのある等分
8.数一対多対応
9.図形つみ木の構成
10.図形図形分割
11.図形図形模写(ひし形/立方体)
12.言語しりとり
13.言語話の内容理解
14.生活 他法則性の理解(図形系列/方眼上を動く形)

平均点は61点でやや難しい内容になっていますが、それぞれの課題には基礎問題と応用問題を用意し、どこで躓いているかを明らかにしました。基礎問題はできて、応用問題ができたりできなかったり、というのが一般的な状況ですが、まだ基礎問題ができていないケースもあります。なかでも一番問題なのは、基礎ができていないのに応用段階の難しい問題ができている子です。これは明らかに教え込みの結果です。教え込みによってこうした逆転現象がよくおこるのですが、これでは本当に理解できているとは言えません。応用問題ができたりできなかったりの子は、これからの頑張りで解決していくはずですからあまり心配していませんが、難しい問題の方だけができてしまっている子は、一度本当に理解しているかを疑ってみる必要があります。

今回の14問の中で、多くの子どもたちが満点を取れなかった問題が3つあります。
それは「4.方眼上の位置と移動」「6.四方からの観察」「9.つみきの構成」です。

では、具体的に見てみましょう。

4.方眼上の位置と移動
これからお話しする場所に、印をかいてください。
  • 上から2番目、左から4番目にをかいてください。
  • 下から5番目、右から2番目にをかいてください。
  • キリンさんが動きます。キリンさんは上に4、左に2動きました。着いたところにをかいてください。
  • ゾウさんは左に3、下に2、右に2動きました。着いたところに◎をかいてください。
  • サルさんは左に2、上に2動いて今いるところに着きました。サルさんははじめどこにいたのでしょうか。その場所に×をかいてください。

この問題は、方眼上の位置を特定する問題と、方眼上を指示どおり移動する問題の2つの観点で作られています。子どもたちの多くは方眼上の位置は間違いなくできていますし、位置移動も3問あるうちの2問目まではよくできていました。難しかったのは3問目で、到達点から出発点を考える問題です。方眼上の位置移動は入試でもよく出されていますが、ほとんどが出発点が示されて「どこにつくか」が問われます。しかしこれは到達点が示されて、出発点を探す問題です。方眼上の移動の逆思考の問題といえます。これは今までどこの学校でも出題されていませんが、いろいろな単元で「逆思考」が問われていますので、方眼上の位置移動を逆思考の問題としてやると、出発点を探す問題になるはずだという判断で作った問題です。この課題は今後必ず入試で出されてくるはずです。入試問題を難しくする一つの方法が「逆思考」ですから、こうした問題にも挑戦させてください。ほとんどの子ができなかった問題です。

6.四方からの観察
テーブルの上のものをまわりから動物たちが見ています。トリさんは飛んで向こう側の真上から見ていますよ。
  • ウサギさんから見るとどのように見えるでしょうか。右から選んでをつけてください。
  • ネコさんから見るとどのように見えるでしょうか。選んでをつけてください。
  • トリさんから見るとどのように見えるでしょうか。×をつけてください。

つみ木で作った家を周りの動物たちが見ており、それぞれの見え方について聞く問題です。今回は、ウサギとネコと鳥からの見え方を聞いています。平面的に描かれた選択肢から選ぶ問題ですが、平面の絵を見て家をイメージできるかどうかが難しさの一つですし、上から見ている鳥からの見え方を判断する問題が難易度を高めています。最近の入試はこのように、つみ木を使って前後左右だけでなく上下も加えた6つの見え方を問う問題が増えています。

9.つみきの構成
  • 下のつみ木は上のつみ木の形からいくつか動かして作りました。それぞれいくつのつみ木を動かしましたか。その数だけ下のお部屋にをかいてください。

8個で作った見本から、何個のつみ木を動かせは指定の形ができるかを問う問題です。見本と変化させたつみ木を見比べて、どこをどのように動かせばできるかどうか、それはいったい何個動かせばいいかを尋ねています。変化するものと変化しないものを観察し、判断できるかどうかの問題ですが、最後の3個動かす問題がかなり難しかったようです。

点検テストで判明した、現在も十分理解できていない3つの問題を分析しましたが、一人ひとりの結果を詳しくみていくと、この問題以外にもその子の苦手な領域がはっきりとわかります。そこをしっかり把握して、家庭学習の課題にしてください。ばらクラス生の皆さまには、「こぐま会Webレッスン」の動画と教材をお渡ししていますので、それを使って復習するのが一番効果的な家庭学習になるはずです。

※次回の更新は5月12日(金)です


 こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

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