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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎28 数の増減 数の変化を考える その3 引き算の考え方

2009/3/13(Fri)
 前回の数の減少のところで、引き算には3つの考え方があることをお話ししました。今回はその考え方について詳しくお話ししていく中で、ひき算と数の増減などの関連についてお話ししていきたいと思います。
ひき算の3つの考え方は以下の通りです。

1. 求残・・・残りを求める引き算
  (例) 公園で子どもが5人遊んでいます。3人帰りました。残っている子どもは何人ですか。
  (式) 5-3=2  (答え) 2人

2. 求補・・・補集合を求める引き算
  (例) 公園で子どもが5人遊んでいます。そのうち3人は女の子です。男の子は何人ですか。
  (式) 5-3=2  (答え) 2人

3. 求差・・・差を求める引き算
  (例) 公園で男の子が5人、女の子が3人遊んでいます。どちらが何人多いですか。
  (式) 5-3=2  (答え) 男の子が2人多い

 このように、式は3題とも同じ「5-3=2」ですが、それぞれの問題が意味しているところはまったく違います。いわゆるひき算らしい考え方は 1.の「求残」です。はじめにあった数からなくなってしまった数を取ってしまい、残りの数を考えるのですから、そこに取り去るという数を減らす行為が入りますから捕らえやすいのだと思います。

2.の「求補」は子ども全体を女の子と男の子に分けて考え、女の子の補集合である男の子の数を考えていく課題です。ここには数を減らす行為はありませんから、これがひき算だとは考えにくいと思います。しかし、これを「公園から女の子が全部いなくなったら、男の子だけが残る」と考えれば数を減らす行為が入り、「求残」と同じ考え方ができるのではないでしょうか。

また、3.の「求差」の考え方は差を求める問題ですから、これも数を減らすという行為がありません。ですからこれもひき算であるとは考えにくいのです。しかし、ここに男の子と女の子がひとりずつ手をつなぐという一対一対応の考え方を導入するとイメージしやすいのです。そして、「手をつないだ子を除いて、手をつなげなかった子の数だけ多い」という考え方をすれば数を減らす行為につながり、考えやすいと思います。

つまり、「求補」や「求差」などのひき算としては考えにくい考え方でも、やり方を工夫すればひき算の典型的な考え方である「数の減少」の場面が考えられ、「求残」と関連付けて考えられるのです。

小学校に入って、子どもたちはひき算を学校で習います。ひき算はたし算に比べて難しいのです。それは、たし算ではいくつかのものを一緒にする、または付け加えるという考え方しかないのに対して、ひき算ではこのようにいろいろな考え方があるからです。これらのひとつひとつを子どもたちの日常生活に密着した課題として詳しく考えていき、関連付けて考えていくとわかりやすくなってくると思います。

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