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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

数 基礎22 数の構成 10の構成 その1

2008/12/19(Fri)
 今回は「10の構成」です。前回でもお話ししましたように、10は小学校に入ったときに繰り上がり、繰り下がりの計算のときに必要となってきますので非常に大切な意味を持ちます。

10と言えば、人間の指は左右合わせて10本ですから指を使って考えると、この「10の構成」はとても楽にできるのです。人類が「数の十進構造」を考えたのは、こうした人体の構造にも由来しているのでしょう。しかし、楽だからと言って、指を使って「10の構成」を行うことはお勧めできません。「数の理解」という点からいうと、指を使うことは弊害になってしまうのです。それはどうしてでしょう。

指を使ってはいけない大きな理由は、「数が内面化できない」からです。数の内面化というのは、数の増減や構成などの数に関する話を聞いて、頭の中だけで数が操作できることです。数はいろいろな状況によって変化していくものですから、変化した都度いくつになっているかを正確に捉えなくてはなりません。例えば、次のような問題を考えてください。

 公園で子どもが10人遊んでいます。3時になったのでそのうち4人が帰りましたが、後から2人来ました。今公園にいる子どもは何人ですか。

こうした問題を考えていくときに、指を10本出して、そこから4本折って、さらに2本立てて、8本であることを確認していくとするととても時間がかかります。問題がこれだけで終わればいいのですが、最近は問題がここからさらに発展して、「今公園にいる子たちに1人2個ずつアメをあげます。アメは全部でいくついりますか。」という一対多対応の問題や、そこからさらに「アメは10個しかありません。いくつ足りませんか。」という数の多少などを含んで「数の複合問題」になるものもあります。こうなるともう指を使っているとどうしようもなく間に合いません。わたしが以前見ていた小学1年生の子で、計算のときいちいち指を使わなければわからない子がいました。非常に計算に時間がかり苦労していました。このように指を使うことが習慣化すると、後になってそれから脱却することが大変になります。

指を使って問題を解くときに時間のかかる理由は、問題を頭の中でイメージかできていないからです。指を使うことによって、頭の中でイメージしていたことが指という現実に戻ってしまうため、思考がそこで途切れてしまいます。指を使わずに話を聞きながら「子どもがはじめに10人いて、4人帰ったから6人になったな。6人いるところに2人来たから8人になった。」とそこにいる子どもたちがすらすとイメージできれば、その後に一対多対応の問題が来ても、数の多少の問題が来ても考えられるはずです。

このように指は問題のイメージ化を阻害するものなのです。指を使うことで話の流れがぶつぶつと切れてしまうのです。話を聞きながら思考していたイメージが指という現実に戻ってしまうのです。
しかし、話を聞きながら数の変化をすらすらと頭の中でイメージすることは難しいことです。どのようにしたらそれができるのか。それについては次回以降お伝えいたします。

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