ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

位置表象基礎6 生活空間の位置

2008/07/11(Fri)
 今回は、右手・左手を使って生活空間の中で右・左を判断していくことを考えていきましょう。「ひとりでとっくん30 右・左」 の中に次のような問題があります。

あなたから見て、ぬいぐるみの右にあるものにをつけてください。 (解答)
箱とチューリップに

 左右の弁別は自分の右手、左手を基準に考えることはもう何度も強調しています。右手・左手から右・左に転換していくのもまず自分の体で考えさせるのがいいでしょう。右手の方にある目を右目、左手の方ある足を左足と考えます。「右手で左の耳を触ってください」「左手で左の足首をつかんでください」などという指示を出して、その通りにできるかどうか点検してください。そして、それがよくわかったらこのように生活空間の中にあるものを題材にして、その左右関係をつかむ練習をしていきます。

物と物の左右関係を考えるとき、このようにあるものを基準にしてその右、左を考えさせます。この問題は、クマの右を聞いています。よくこうした場合クマのすぐ右にある箱だけにをつけてしまいがちです。しかし、「~の右」といった場合、右にあるものすべて言わなくてはなりません。ですから、箱以外にチューリップにもをつけなくてはなりません。例えば、「チューリップの左にあるものにをつけなさい」などという指示があったら、チューリップ以外のリンゴ、カップ、ぬいぐるみ、箱とすべてのものにをつけなければなりません。

また、ここでもう1つ大切なことは、基準に取ったものをはっきりとつかむことです。それがしっかりしていないと、左右関係が正確に理解できません。これは左右に限ったことではなく、前後や上下の場合も同じです。また、基準をいろいろと変えていくと、今まで右と言っていたものを左と言わなくてはなりません。上の例でも箱は、ぬいぐるみを基準に取れば「ぬいぐるみの右」ですし、チューリップを基準に取れば、「チューリップの左」です。このことは「位置の相対化」といいます。大きさや多さなどの量もそうでしたが、このように位置も絶対的ではなく相対的な関係にあります。ですから、どこを基準に取るのかということがとても大事になってくるのです。

こうした基準をはっきりさせるためには、場所を言語化させるのが最もいいと思います。この問題でいいですから、「カップはどこにありますか?」などと聞いてください。答え方は以下のように何通りかあります。

 (1) 左から2番目
 (2) 右から4番目
 (3) リンゴの右
 (4) クマの左
 (5) リンゴとクマの間

(1)と(2)は「~番目」と右や左からの順序をあらわすので、「左右の系列化」といいます。この場合も「右から」「左から」のどちらを基準に取って数えているのかしっかり言語化ください。また、(3)と(4)はあるものを基準に取った場合の左右の言い表し方です。また、(5)は両方に基準を取っています。このように、1つのものの位置でも基準の取り方によって、いろいろな言い方があることを理解させてください。また、1つ言語化できたら「もっと別な言い方はないの?」と質問して、違った言い方で言えるようにしてください。ここでいろいろな言い方を練習することが、相対的なものの見方を育てることにつながっていくのです。

こうした場合の右・左の判断については、自分から見た場合を考えればいいのです。ところがそうした問題ばかりではありません。次回は、他者の目から見た右・左について考えていきたいと思います。

PAGE TOP