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週刊こぐま通信
「今何を学習すべきか」

その8 位置表象の応用 地図上の移動

2005/07/28(Thu)
A.あなたは、最寄りの駅からご自分の家までの地図を描くことができますか?
B.あなたは、初めて行く場所に地図を見ただけでたどりつくことができますか?

 どちらも、完全に「はい、大丈夫です。」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。「位置表象」は、上記のような能力を正しく身につけることを目的としています。Aの課題は現実を地図上に表象化すること、Bの課題は反対に、表象化された地図を見て、現実場面を考えることです。このどちらもきちんとできないと、あなたは「方向音痴」ですね。と言われかねません。

 幼児期のこの分野の課題は、「地図上の移動」といわれるものです。この課題は、次回掲載予定の「四方からの観察」とともに難しい課題のひとつです。移動した道を聞き取り、地図上にその通りに道を描く課題、移動した道は左右のどちらに曲がったのかを考える課題などがあります。この地図上の移動の難しさは、交差点に入ってくる体の向きによって、左右関係が決まってくることです。基本は、図1のようなひとつの交差点での右左折です。

(図1)
(図2)

 この交差点の練習では、(1)のこちらから行く場合は今自分のいる位置から考えればよいのでやさしい課題です。ところが(2)や(3)などの横から来る場合は難しくなります。例えば、(3)の方向から来て左に曲がるとします。この課題において子どもは自分の左手がある方向が(2)ですから、交差点を曲がらずにそのまま(2)の方向に真直ぐに進んでしまう間違えをしてしまいます。これは、(3)の方向から交差点に入ってきているという立場に立って物を考えられていないからです。この場合はしっかり体を左に向けて、この交差点を歩いているつもりになって考えさせます。または、移動に使うものをおはじきではなく自動車や人形のような左右がはっきりわかるものに変えて考えさせるのもいいでしょう。

 最も難しい課題は、(4)のように反対の方向から来たときです。ここで左に曲がりなさいという課題が出たとき、本当は(3)の方に行かなくてはならないのに、よく考えないと自分自身の左手のある(2)の方向に行ってしまいます。ここでも、体をぐるりと反対側に回して、反対から歩いてきているつもりになって考えさせて下さい。このようにして、1つの交差点での右左折が十分に行えるようになってから「ひとりでとっくん44 地図上の移動」 を使って様々な地図上の移動の練習して理解を深めて下さい。

 この問題集の中に上の図2のような右に曲がる角はどこか探す課題があります。これは、先ほどの指示された方向に曲がる課題の反対で、どちらに曲がったかを考える課題です。これもひとつひとつの曲がり角で、どちらからそこに入ってきたかを考え、そこから曲がった方向が自分右手の方なのか、左手の方なのかで考えます。原則としては、前の課題と同じなのです曲がり角がいくつも出てくるので、かなり難しくなります。それでも根気よく丁寧に考えていけばこの課題も出来ます。位置表象においては、このように左右関係が絡んでくる課題がいろいろと問題になりますが、いつも自分自身の右手、左手を基準にして考えていくことができれば間違えなくできます。自信を持って取り組んで下さい。

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