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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問32】

2007年6月1日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 入試問題の中で「逆対応」といわれる内容が難問のひとつにあるようです が、この「逆対応」の学習はどのように進めたらよいのでしょうか。

 私たちが、入試問題を分析する際に単元名として使っている「逆対応」は、対応づけのひとつとして「順対応」に対して命名しているものです。順対応とは、おなべの大きさに対する蓋の対応づけであったり、背の高さの違うおじいさんにあげる長さの違うステッキであったり、また「旗作り」の授業でも取り上げたように、長さの違う旗棒に対する大きさの違う旗地の対応づけであったり・・・、量の多いものから順に対応づけるもので、これは生活感覚でもわかりやすいものです。

 これに対し、「逆対応」は、残った水の量から飲んだ水の量を系列化するような問題がその典型です。この場合、たくさん飲めば残りは少ないし、少なく飲めば残りは多いという関係を踏まえて、系列化しなくてはなりません。1番多いものや1番少ないものは生活感覚ですぐにわかりますが、3番目や4番目だけを聞かれると、さてどのような手続きで探すのか迷ってしまいます。その結果、4番目に多く飲んだコップを探すとき、残った水の量の少ないほうから1番目、2番目・・・とやらないで、残った水の多いほうから1番目、2番目とやりがちなのです。つまり、4番目を探すとき、残った水の量に目が行ってしまい、たくさん飲めば飲むほど残りは少ない・・・という関係を忘れてしまうのです。

 つまり生活感覚で解けるレベルの問題と、論理的に考えないといけない問題との違いがそこにはあるのです。2005年度の入試においてある学校で次のような問題が出されました。

 水量の異なる5つのコップに5個ずつ砂糖が入っている。この中で一番甘くないものに丸をつける。

 この問題も典型的な逆対応の問題で、水が少なければ少ないほど甘いという関係を踏まえて解く問題です。しかし、上記の問題は1番甘くないということですから、水の1番多いものを探せば良いわけで、その限りにおいては生活感覚で解ける問題だと思います。しかし同じ場面で、4番目に甘いものなどが問われると、難しい問題に変化します。つまり生活感覚ではなく論理によって問題を解かなくてはならないからです。

 このほかにも、ビンからコップへのジュースの移しかえにおいて、どのビンからどのコップに移しかえたかを関係付ける問題なども難しい問題のひとつです。たくさん移せば移すほど残りは少なくなるという関係づけで、対応させなくてはならないのです。ここでも1番たくさん移したものや、1番少なく移したものの残りのビンはわかっても、3番目4番目にたくさん移したものの残りを探すのは結構苦労します。

 以上見てきたように、問題の場面はきわめて生活に密着したものであるにもかかわらず、対応づけの段階で、論理が必要になる問題として、子どもたちにとっては厄介な問題となるのです。実物を使った対応づけをしっかりやり、関係をしっかりつかませた上で、ペーパー学習に進んでください。

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