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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問20】

2007年3月23日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 先日のセミナーで、今後言語領域の問題がいろいろ工夫されて出題されることが予想されるので、その対策を生活の中でしっかり行うように言われましたが、具体的にどのような点に力を入れたら良いのかアドバイスをお願いします。

 小学校入試における言語領域の課題は、大きく分けて2つあります。そのひとつは、聞く力の代表としての「話の内容理解」で、もうひとつは、話す力の代表としての「お話づくり」です。小学校国語科の指導要領の4つの柱は、聞く力・話す力・読む力・書く力ですが、その中でも、幼児期の課題は、聞く力と話す力の育成ということになるわけです。

 この2つに加えて、「言葉の理解」に関する問題も増えています。一音一文字・同頭音・同尾音・しりとり・動詞の理解・反対言葉・助詞の理解などがそれにあたります。しりとりなどは言葉遊びとしては簡単ですが、ルールの理解を正面に据えた問題になると相当難しい問題に変化します。

 こうした従来の出題傾向に加えて、言語的な意味での発表力・会話力を見る問題が増えてきています。事物の特徴を説明したり、仲間はずれの理由説明をさせたり、また、友だち同士で相談させたり、クイズを出し合ったり・・・とこれまで見られない方法での出題が増えています。こうした言語領域の問題が工夫され、多く出されていく背景には、学校の現場で抱える問題があるはずです。

 今の子どもたちは、会話する能力が極端に劣ってきていると言われています。結論は言うけど、「なぜ?」「どうして?」と言う質問にしっかり答えられないという認識を学校の先生方は持っています。ですから、小学校入学後の初めての保護者会で、どの学校の先生も、保護者に「ともかくたくさん会話する時間を作ってあげてください」と言うのです。次期指導要領の改訂で、文部科学省は言語力の育成に力をいれ、論理的思考力の向上に向けて国語を学習の基本とすることを明確に打ち出しました。その結果、国語に関する入試問題も工夫されてきているのです。

 少子化の中で、子ども同士がかかわりあうチャンスが少なくなっています。それどころか、会話しなくても楽しめるツールが子どもの周りにはたくさんあります。言葉を介さなくても生活していける現実を何とか変え、豊かな言語生活を意図的に演出する必要があるのかもしれません。こうした状況が、入試にも必ず反映してくるのです。
 では具体的にどうすればいいのか。ご家庭でいろいろ工夫していただきたいと思いますが、どの家庭でも実行できる原則的なことを次に掲げます。

(1) 友だち同士で遊ぶチャンスをたくさん作ってあげる
(2) 毎日の出来事を顔を見て、聞いてあげる
(3) 絵日記をつけさせる。子どもに話をさせ、それを大人が書き留めてあげる
(4) 毎日寝る前に、絵本の読み聞かせをし、内容についていろいろ話し合う
(5) 要求や不満があれば、それを言葉にして相手に伝えさせる
(6) 学習の場面では、どうしてそうなるのか 答えの根拠を説明させる
(7) クイズ遊びなどを通して、自分で問題を作り発表する経験を持たせる
(8) 詩を暗誦させたり短いお話を暗記させて、家族の前で発表する機会を作る

 ともかく、会話する力の育成は、毎日の生活や遊びの中で行わなくてはなりませんから、家庭の責任は重大です。こうした基本的な経験の上に、入試独特の問題をカードやペーパーを使って学習することをお勧めします。

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