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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問15】

2007年3月9日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 先週学習した、量と数の等分において、具体物ではできるのに、ペーパーになるとよく間違えます。どのような練習をしたら良いのでしょうか。

 等分の課題は将来の割り算の考え方につながるものであり、また子どもたちの遊びや生活の中でも「分ける」経験はたくさんあるために、入学試験でもよく出されます。

 等分の課題は大きく「量の等分」と「数の等分」に分けられます。量の等分は、水やひも・折り紙・粘土のようなものを、2等分や4等分させる課題が基本でしたが、ある学校でホットケーキを3等分する問題が出た後、数年後に水や紐を3等分する課題が他校でも出されています。現在では、3等分も含め、2等分から4等分までできないといけませんが、量の等分で最も難しいのは、3等分だと思います。実物を分けるだけでなく、ペーパーでも出題されます。その際、2等分はすぐにできるし、4等分は半分のまた半分という発想で間違いなくできます。しかし、3等分は、そう簡単にはいきません。基本図形を3等分させるような課題では、丸や三角の切り方は練習して上手に切れるようになっても、それより易しいはずの、真四角・長四角・ひし形の切り方で間違えてしまうケースが良く見られます。量の等分のポイントは「3等分」と覚えておいてください。

 数の等分は、3年生の割り算につながる大事な課題です。具体物やおはじきを使って2等分から4等分まで、いろいろ練習してください。数の範囲は10を超えて20前後の数になってもかまいません。その際、まず、あまりの出ない等分をよく練習してください。あまりが出ない場合は仮に最初に配る数を間違えて、多いところと少ないところがあったとしても、多いほうから少ないほうへ移すという考え方で修正し、結果的に間違うことはまずありません。問題は、あまりが出てしまう場合の等分です。この場合は、全部配ってしまうとどんなに調整しようにも、誰かが多く誰かが少なくなってしまいます。教室での様子をみていると、4等分の場合、1個あまるような数、たとえば13個を4等分するような場面設定では、1個あまるとすぐ言えます。しかし、3個余るような、たとえば19個を4等分させるような課題では、全部を配ってしまう関係で、3個あまったというより1個足りないというところに目がいってしまい、配ったものを戻すということがなかなかできません。そうした間違いをなくすために、まず1個ずつ配る方法を身につけさせてください。そうすれば、少なくとも配る人数分以上のものが手元になければ、もう一回り配れないということに気づき、4等分の場合3個余っても、もうこれ以上配れないという判断ができるはずです。

 さて、こうした具体物を使って行う等分ができるようになっても、ペーパーでのトレーニングになると、よく間違えてしまいます。この等分の課題に限らず、どんな課題にも言えることですが、具体物を使った学習で理解できても、その同じ問題がペーパーですぐにできるようになるかというと必ずしもそうではありません。シーソー問題が良い例です。実物のシーソーを使えば、3者関係も4者関係もすぐわかりますが、ペーパー問題になると結構苦労します。具体的な場面をイメージする力と、時間的順序を踏まえて考える力が備わっていないと、具体物でできたからといって、すぐにペーパーでできるようにはならないのです。

 また、数の等分のような場合、ペーパー上で作業する際に線を引いたりするのですが、狭い空間に何本も線を引くと、どこからどこに線を引いたのかさえも本人がわからなくなってしまい、分ける作業で混乱してしまいます。実物を分ける時と、ペーパー上で線結びする場合とでは、作業自体の難易度が違い、実物でできてもペーパーでは・・・ということになりがちなのです。ですから、線の引き方ひとつとっても相当の工夫が必要になり、そのことが、実際の場面でできてもペーパーになるとできない・・・ということになるのです。ですから、ペーパーを使って行う場合の難しさをあらかじめ承知し、作業がスムースに進むよう、いろいろな場合を想定して練習してください。

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