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週刊こぐま通信
「学習相談Q&A」

【質問14】

2007年3月2日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

 幼稚園のお友達が通っている個人塾では、もう過去問特訓をやっていると聞いて、あせってしまうのですが、過去問を使って解く練習はいつごろから始めれば大丈夫でしょうか。

 実際に出題された問題を解いて練習する「過去問特訓」は入試対策には欠かせません。しかし、この時期(2月)に過去問特訓をやっているとすれば、その学習は、機械的な教え込みによる訓練でしかありえません。なぜなら、過去問を自ら解いていく力が今の段階で出来上がっているとは到底思えないからです。教え込まれた方法で解くのではなく、自分の力で解けなければ合格へはつながりません。なぜなら、ほとんどの学校で、過去出された問題とまったく同じ問題を出すことはありえないからです。子どもにとっては一度もやったことのない問題が入試では出されるのです。それを自らの力で解くためには、基礎学力をしっかり身につけておかなくてはなりません。その基礎固めを今の時期の学習目標にしなくてはなりません。

 この時期に、過去問特訓を中心に学習させている指導者が果たして受験指導の専門家なのか、はなはだ疑問です。基礎が何であり応用が何であるかがわかっていないのです。私の35年間の経験から言えば、入試で出された問題を本格的に学習の対象にするのは4月以降で十分です。今やるべき課題は、どのような力を身につけたら過去問を自分の力で解くことができるのかを考え、各領域の基礎固めを十分にやることなのです。たしかに入試問題の中にはきわめてやさしい問題もあり、今の時期にできる場合もありますが、過去問特訓を学習の中心にすえるのは、基礎学力がしっかり固まってからで良いと思います。

 入試に向けた学習ですから、早いうちから難しい問題に取り組ませたい・・・という保護者の気持ちもわかります。しかし、子どもの現在の学力とかけ離れた課題を学習しても、時間をかける割には効果は上がりませんし、教え込みになりがちです。子どもが物事を理解していく道筋ははっきりしているし、時間が必要な場合もあります。あせって、過去問に飛びついても、自分で理解できなくては何の意味もありません。難しい問題を扱っているから良い指導なのではなく、難しい問題を自らの力で解いていける学力をどのように育てるかということに指導者は集中すべきです。うわべだけの学力ではなく、本物の学力を身につけさせるためには、今はあえて過去問からは少しはなれたところで、きちんとした基礎を身につけさせるべき時期なのです。

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