ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「何をどう学習したらよいのか」

【質問1】

2007年11月09日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

大きさや多さくらべの学習を通して、どんなものの見方を身につければ良いのでしょうか。

 ばらクラス第1週の授業は、「大きさくらべ」・「多さくらべ」です。未測量領域の最初の授業になりますが、この未測量領域では、このほかに、「長さくらべ」と「重さくらべ」を扱います。それぞれの量には特徴があります。たとえば「大きさは」目で見て判断できる場合が多いものですが、「重さ」はそれができません。持ち上げてみたり、はかりにのせてみたり、シーソーにのせてみたりしなくてはなりません。ですから、まず最初の課題は、比較する方法を身につけるということです。目で見て判断できなければ、重ねて大きさをくらべてみるとか、同じ容器に水を移し変えて、多さをくらべるとかの方法が必要です。

次に大事なのは、比較する言葉をしっかり見につけることです。『大きい-小さい』とか『多い-少ない』とかいう比較する言葉をしっかり身につけてください。「多い-少ない」を「たくさん-すこし」と表現する子どももいるはずです。生活の中で身につけた言葉を、より発展性のある一般言語に置き換えてあげることは、幼児の場合とても大事です。

言葉が理解できたら、今度はたくさんある中から、一番大きいものや一番小さいものを探させてください。その上で、ある大きさのものを基準に「それよりも大きいもの」と「それよりも小さいもの」に分けさせてください。基準をいろいろ変え、同じ質問をしてください。量は絶対的なものでなく相対的なものであることを、こうした課題を通して身につけさせ、相対的思考の芽生えを促します。つまり見る視点を変えることによって、柔軟な思考を育てていくのです。

最後は「量の系列化」です。同じ容器に入った7段階のジュースの量を「多い順」に並べたり、大きさの違う10段階のコップを、「大きい順」や「小さい順」に並べ、その上で4番目に大きいコップや3番目に小コップを探させるのです。大きい順や小さい順に並べたり、多い順や少ない順に並べさせることを通して、系列思考を育てます。なぜ系列思考が大切かといえば、数概念の形成に深く関わっているからです。

数には2つの側面、すなわち「集合数」としての側面と「順序数」としての側面があります。集合数は分類思考の上に成り立ち、順序数は系列思考を前提に成り立っています。『5』という数には、物の集まりとしての5(集合数)と、順序をあらわす5(順序数)という二つの側面を持っていますが、順序数の考え方は、この系列思考を基に成り立っています。

物事を違う視点で見る『相対思考』や、物事を順序づけてみる『系列思考』は、こうした「大きさくらべ」や「多さくらべ」の中で培うことができるのです。

PAGE TOP