ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(42)

図形の難問は対称図形と重ね図形だが、出題の半数は図形構成・図形分割である

2009年9月25日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問42】
 数は比較的得意なのに、図形が苦手なようです。入試まであと1カ月余り。何を重点的に学習したらよいのか、アドバイスをお願いします。

 数領域同様、図形領域も入試でよく出されます。しかし、数と違って典型的な問題をあげることはとても難しい領域です。基本となる学習単元はいくつかありますが、問題の中身はいろいろ工夫されているため、パターン化して指導することはできません。つまり、同じ問題は出ないということです。ですから、その単元で求められる図形的なセンスをどう高めておくかがポイントになります。

こうした前提で考えると、図形領域でまず身につけておかなくてはならない基本となる能力は、「図形構成」と「図形分割」です。入試問題の半分以上がこの領域に関する問題だと言っても過言ではありません。しかし、図形構成といってもいろいろな問題があるわけですから、そのひとつひとつをバラバラに学習しても、時間がかかるだけで効果はあまり望めません。図形的なセンス、特に構成能力に関しては、三角パズルの練習が基本となります。ピクチャーパズルをはじめ、図形構成の課題はいろいろありますが、将来の図形教育のことを考えても、三角パズルをどうマスターするかが図形構成の中心になるべき課題です。最近では、同じ大きさだけでなく、違う大きさの三角を使っての図形構成も登場していますので、この課題はまだまだ進化しそうです。立体構成の問題は、立方体つみ木を使った構成で、しかも「いくつ積んであるか」を考えるものがほとんどでした。しかし最近では、基本形を1個~2個動かしてできる形をイメージする課題がよく出されています。三角パズル同様、つみ木を使った立体構成でも、1つ移動させるだけで全体の形が相当変化します。そこで、動かす前の形と動かした後の形の異同を観察させる問題が出てくるわけですが、これが意外と難しいのです。昨年はある学校で2個動かしてできる形を探す課題が出されました。「図形構成」と「二者の異同」が同時に問われる、いわば図形領域における「複合問題」と言えるでしょう。

図形領域の課題の中で、難しい単元は「線対称」と「重ね図形」です。線対称には、折り紙を使った課題と、対称となる軸で折り曲げた時ちょうどぴったり重なるように描かせる問題と・・・典型的な問題が2つあります。また重ね図形は、そのまま上下に重ねる場合と、半分に折って重ねる場合とがあり、この2つの重ね方をしっかり身につけておかなくてはなりません。重ね図形は、影絵とセットになったり、点図形とセットになったりして、これも複合問題化する場合が少なくありません。こうした新しい傾向の問題に慣れておく必要があります。

図形領域の課題のまとめてとして、これから入試までにもう一度行っておくべき課題は、以上述べたように、「図形構成」と「図形分割」を中心に、「対称図形」と「重ね図形」の複合問題ということになります。

PAGE TOP