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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(18)

登場人物とその行為の関係付けが間違いやすい

2009年3月21日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問18】
 話の内容理解の設問の中で、登場人物とその行為の関係付けが苦手のようです。練習するにはどんなことに気をつけたらよいでしょうか。

話の内容理解は将来の国語科における「聞く力」の育成につながる内容として、小学校入試でも重視されています。聞かせる話の長さはまちまちですが、最近の入試問題は相当長いお話を聞かせて質問する学校が増えてきました。絵本を使う学校も出てきました。質問の内容は昔から「登場人物」「順序」「数」「登場人物とその行為の関係付け」の4つが基本でした。登場人物に関する質問が一番多いのですが、お話に出てきたかどうかだけではなく、その場にいたか、その場にいないけれども会話で話題になったかなど、質問もかなり細かくなりました。また、順序についての質問は場面が変わるその順序を問う問題ですが、お買い物に行ったお店の順番や動物園で見た動物の順序などがその典型です。次に数についてですが、従来からある数の質問はお話に出てきた数をそのまま記憶すれば解ける問題です。例えば、拾った栗の数や食べたイチゴの数などそのまま覚えていれば良く、数の増減などの数の操作をするわけではありません。しかし、最近の入試では数の操作に関する問題が出始め、単純に記憶するだけでは解けない問題になっています。最後は、今回の質問にもあるような「登場人物とその行為の関係付け」です。例えば、登場人物の食べたお弁当や描いた絵、また移動に使った交通手段などを登場人物と結びつける問題です。登場人物がひとりならば問題ありませんが、3~4人出てくると関係付けが複雑になり、間違いも起こりやすくなります。記憶の問題と言えばその通りですが、単純な記憶の問題として練習するのではなく、話の中味を理解するということを基本にしたほうが良いと思います。話の展開を理解せず、例えば「ウサギはサンドイッチ・・・クマはおにぎり・・・・などと覚えても、4つも覚えるとなるとどこかが入れ違ったりするものです。ですから、話の内容を理解することを前提に関係付けを覚えるといったほうが間違いが少なくて済むと思います。

従来からある典型的な質問は上記の4つが中心になりますが、最近の入試はこの4つに収まらず、いろいろな質問がなされるようになりました。「地図上の移動」「私は誰でしょう」「数の増減」「三者関係の理解」なども出されています。他の領域で学ぶすべての単元が、話の内容理解の質問事項になったといっても過言ではありません。話の内容理解の形を取りながら、実はその中身が数であったり、位置表象であったりするのです。ですから、聞く力とそれぞれの単元がセットになった複合問題と言えるかもしれません。こうした複合問題を解くには、やはり内容の理解が前提でなくてはいけません。その意味で、どこのご家庭でも毎日行っている「読み聞かせ」はとても重要だと思います。

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