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週刊こぐま通信
「子どもはどこでつまずくか」(4)

ひし形の模写が難しいのは、わけがあります

2008年11月28日 回答
受験生の皆さまの学習相談に、こぐま会室長がお応えします。

【質問4】 
 図形模写の練習をしていますが、ひし形が上手に描けません。どのような練習をすれば良いのでしょうか。

 ひし形の模写は個人用知能テストの問題にもあるため、昔から年中~年長児の図形能力を測るひとつの目安になっていました。実際、小学校の入試問題にもよく出されていました。最近の子どもたちは模写能力も高まり、ひし形が描けない年長児はほとんどいませんから、入試問題になることは少なくなってきましたが、代わりに立体物を模写する問題が増えています。
子どもの成長過程を考えたとき、図形の模写能力は、三角の模写・逆三角の模写・ひし形の模写・立方体の模写という順序で点検するのが良いのではないかと考えています。はじめは三角の角をうまく描くことができず、の変形としての三角の模写から始まって、立方体の模写が上手にできるようになるまで2~3年を要するかもしれません。その最初の壁が逆三角であり、その次がひし形だろうと思います。ところで、知能テストで行う「ひし形」模写の評価は、対角線を引いた時、それが直角に交わるかどうかが最大のポイントですが、その観点で見ると、年中の今頃はまだ未完成の子が多く見受けられます。

ではなぜひし形が難しいのでしょうか。それは一口にいえば、斜めの線だけで構成されている形だからです。以前「斜めは難しい」ということをお伝えしましたが、ひし形が難しいのはまさにその理由によるところが大きいと思います。ですから、上手に描けないからといって描く練習だけしても意味がありません。形の特徴をしっかりつかむこと、そして斜めの線の理解を深めることが大事です。粘土で作ったり、竹ひごで作ったりすることを通して、斜めの線の理解を促し、描く練習をしてください。逆三角をたくさん描くのも有効です。

ひし形が描けないと、点を4つ打ってそれを結ばせて描かせる方もいるようですが、それは絶対にしないでください。ひし形を技術的にきれいに描くことが問題ではなく、ひし形をどのように認識し、それをどう表現できたかどうかが問題です。4つの点を打って結んで描けたとしても、そのことでひし形を理解したことにはなりません。また、対角線を結ぶと直角に交わるという点を強調しすぎると、十字架を描いてから・・・という風になりがちですので気をつけてください。形をしっかり認識し、斜めの線の理解が進めば必ず描けるようになります。「斜めの理解が難しい」ということのもっとも顕著な例ですので、時間をかけて練習してください。

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