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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

なぜ、小学校受験か

第856号 2023年5月19日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 50年間小学校受験を目指す子どもたちを指導する現場に身を置いて、その変遷を肌で感じ取ってきましたが、最近、小学校受験を目指すご家庭の学校選びの考え方が多様化していることを痛感します。昔から、小学校受験の目的には皆さまそれぞれの理由があります。
  1. 小学校から大学までの一貫教育に期待する
  2. 厳しい中学校受験を避けたい
  3. 公立校より環境の整った私立に行かせたい
  4. 宗教教育を通して心の成長を望む
  5. 英語教育に期待したい
こうした受験動機は今も変わりませんが、それに加え最近の傾向として、上級学校への進学を念頭に置いた学校選びが増えています。中学受験に取り組むことを教育方針とした学校に人気が集まったり、入試科目として英語を導入する中学校が増えてきていることから、英語教育に力を入れている学校にも大勢の受験生が集まっています。つまり将来の受験を見据えて、しっかりとした学力を身につけられるのかどうかを判断基準にして学校選択をするご家庭が増えているということであり、また一貫校でも上級学校の入試における偏差値を調べて、学校を選ぶご家庭もあります。こうした受験者側の動きに対応するように、最近学校説明会で大学への進学について資料を出す学校が増えてきました。私が知る限り、大学への進学について、小学校の学校説明会で資料を出し始めたのは最近の傾向だと思います(入学後の学内報で、その年の大学合格数を発表する学校は以前からありましたが、それを学校説明会で話したり資料を出したりすることはなかったはずです)。それだけ、学校側も保護者の学校選びに「将来の受験」が絡んでいることに敏感になっているという証拠です。

一方で、小学校受験に合格しても、中学校では他の学校を受験したり、大学までつながっているのに他の大学に進学したりすることは以前からありましたが、最近その傾向が強くなっているようです。難関小学校に合格しても、中学受験でより難しい学校を受験するご家庭が増えています。こうした現実を踏まえると、小学校受験での学校選びは、将来の進路も含めて検討する必要があります。現在幼児期にある子どもたちが将来大学を選択する際に、日本の大学を経由せず、直接海外の大学に進学するケースも増えてくるはずです。こうした多様化した選択肢を持ちながら、当面の小学校選びをしなくてはなりません。その際、少なくとも現在の中学受験がどのようになっているか正確な情報を持つ必要があります。

こぐま会は、7年前からサピックスが運営する「幼児教室 サピックスキッズ supported by こぐま会」 に、KUNOメソッドを提供してきました。年2回ほどある教育講演会にも登壇させていただき、幼児期の基礎教育に対する考え方をお伝えしてきましたが、その講演会に、小学校受験はしないけれど、将来の受験に備えて幼児期の基礎教育をしっかりしておきたいという保護者の方も大勢参加されています。実際、こぐま会に通われているご家庭でも、小学校受験をせず、中学校受験を目指す方が少なからず在籍しています。特に男の子に多くみられますが、その考え方を私たちも応援してきました。

受験相談をする際には、小学校の学校情報だけでなく、中学受験の情報もしっかり把握して対応しなければなりませんが、幸いサピックスの現場で指導する先生方と毎月1回の定例会を行うなかで多くの情報をいただき、活用させていただいています。中学校受験の様相も相当変化し、学校の評価も保護者の皆さまが受験された頃とは大きく隔たりがあります。そのため、小学校受験をされる皆さまにも中学受験の正確な情報を持っていただく必要があると強く感じ、それがこの度、サピックスとこぐま会との共同企画による、受験をめぐるトークイベントの開催へとつながりました(代官山蔦屋書店にて/6月11日(日)10時より、対面+オンライン)。これから小学校受験を目指す方に参考にしていただきたい内容ですので、ぜひ大勢の皆さまのご参加をお待ちしております。



 こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

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