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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

数と図形に強くなるための学習法

第687号 2019年8月23日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 来年秋に受験される年中児の保護者の皆さまを対象に、第3回室長連続セミナーを行いました。
今回のテーマは「数・図形に強くなるための学習法」です。受験で問われる学力問題は、数・図形・言語が中心ですが、中でも数と図形は昔から重視されてきました。現在は、数の問題がやや減り、図形の問題が増えているように思います。図形の方がオリジナルな問題を作りやすいからかも知れません。

今回のセミナーでは、最初に最近の数や図形に関する入試問題を紹介し、どんな能力が求められているかを分析しました。基本問題と関連する難しい入試問題とに分けて説明し、難易度の違いを具体的にお伝えしました。その上で、象徴的な問題を2問ほど実際に解いていただき、一緒に考えました。「何が難しいのか」「子どもはどこで間違えるのか」「それを乗り越えるために何をどう学習したらよいか」などを明らかにしました。問題を実際に解くことを通して、問題の難易度および出題する学校側の意図が伝わったのではないかと思います。

多岐にわたっている問題をどのように整理し、それを系統づけて子どもの理解度に合わせてどう指導するか・・・ここが指導する側に求められている専門性ですが、それに十分応えきれているのかどうか、はなはだ疑問です。過去問を何の脈絡もなく並べ、それを1年前から取り組ませるような間違った指導が横行しているからです。これでは本当に考える力は育ちません。そもそも入試問題を分析する論理的な枠組みができていないところに問題があるのです。そんな状況で過去問を並べただけでは、基礎から応用へ、具体から抽象へといった有効な指導ができるはずはありません。

こぐま会では、すべての領域を7つのステップに分けて学習内容を系統化し、螺旋型のカリキュラムに沿って指導しています。数に関しては次のように系統化しています。

ステップ1:計数・同数発見・5の構成
ステップ2:一対一対応
ステップ3:等分
ステップ4:一対多対応
ステップ5:10の構成・交換
ステップ6:数の増減・数のやり取り
ステップ7:総合

この順序で学習し、それぞれの単元の基本事項を学んだあと、実際に出された入試問題に取り組ませることによって力を付けていくのです。最近の傾向を踏まえると、「一対多対応」や「交換」「数のやりとり」といった課題がよく出されています。

図形領域も、7つのステップで積み上げの学習を目指しています。

ステップ1:基本図形とその構成
ステップ2:立体構成
ステップ3:同図形発見・点図形
ステップ4:図形分割
ステップ5:展開図・線対称
ステップ6:重ね図形・回転図形
ステップ7:総合

こうした系統だった学習単元を一つ一つ積み上げていくことによってしか力は付いていきません。図形問題は、従来から図形構成 - 図形分割が問題の中心でしたが、最近は「線対称」「重ね図形」「回転図形」がよく出されています。それだけ問題が難しくなってきているということです。特に、すべての課題に「回転」の要素が絡んでいるところを見落としてはなりません。小学校に入ってからの図形問題は、どちらかというと知識に訴える問題が多く見られます。しかし、小学校入試の図形問題は、「図形感覚」が求められる問題が多いことが特徴です。回転の要素が多くの問題に絡んできていることもその現われです。そのために、つみ木・パズル・折り紙といった具体物をたくさん使った学習が効果的です。どうかペーパーだけに頼らず、身の回りにたくさんある図形関連の具体物を使って、図形感覚を育ててください。

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