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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

広島での講演会でお伝えしたこと

第647号 2018年10月26日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 5月以来、久しぶりに広島を訪問し、「大木スクール こぐま会広島校」が新年度生を迎えるにあたり、私たちが実践している幼児期の基礎教育のあり方と小学校受験に対する取り組みの仕方について、年中児の保護者の皆さまにお伝えさせていただきました。70名近くお集まりいただき、教室に入りきれないほどでした。子どもたちが発達診断テストを受けている1時間20分の間に、以下のような内容でお話しさせていただきました。

大木スクールこぐま会広島校 教育セミナー
「広大附属・ 安田・ 東雲小に合格するための正しい受験対策」
  1. 幼児教育をめぐる教育界の動き
    1. 2020 年教育大改革
    2. 小学校へのつながりを考えた教育を
    3. ヘックマンの提言による、幼児教育への関心の高まり
    4. 曲がり角に来た小学校受験
  2. 広島における小学校入試の出題傾向
  3. どんな能力が求められているか - 首都圏における新傾向の問題について -
  4. どんな学習が必要か - KUNOメソッドによる指導法 -
    1. 3つの理念(教科前基礎教育・事物教育・対話教育)
    2. 事物教育がなぜ必要か
    3. 対話教育の重要性
    4. 3段階学習法とは
    5. 考える力10の課題
  5. 家庭学習の課題
    1. 聞く力の育成
    2. 作業能力を高める
    3. 考える力を育てるために事物教育を徹底する

大木スクールとは3年ほど前から提携関係をつくり、3歳から5歳までの幼児を対象に、こぐま会の「KUNOメソッド」を使った指導を行ってきました。毎年5月と10月に行われるテストにあわせて教育セミナーも開いています。これまで行ってきたペーパー中心の指導をやめ、事物教育・対話教育という新たな指導方針を掲げ、毎年、広島大学附属小学校・安田小学校・広島大学附属東雲小学校などに多くの合格者を送りこんできました。ペーパーのみの教え込み教育に疑問を持たれていた多くの保護者の皆さまに支えられ、3年間で合格者の数も倍増し、こぐま会の方法が受験にとっても一番有効な方法だということが証明されました。受験はもちろん結果が重要ですが、しかしそこに至る教育のあり方が、将来の学力の基礎になっていかなければなりません。まともな教育で成果が出せるということが証明されたことが、多くの皆さまの支持をいただけている理由ではないかと思います。

今回のお話では、幼児教育をめぐる世界の動きや国の方針の転換についてお伝えし、これからの時代を生き抜く子どもたちをどのように育てたらよいのかを、ジェームズ・ヘックマンの考え方などを紹介しながら私の考えを述べました。多くの仕事がロボットに代わっていくであろうこれからの社会において、人間が果たすべき役割は、付加価値をつけられる存在にならなくてはならないということです。その付加価値をつけられる人間になるために、何をどう学ぶのか。考える力を育てるために、幼児教育はどうあるべきかをみんなが考えなくてはなりません。受験だから特別な訓練でいいのではなく、受験だからこそしっかりとした理念をもってその対策を考えなければならないのです。多くの子どもたちが受験で傷つき、合格はしたものの勉強嫌いになってしまったのでは、何のための受験だったのでしょうか。あれだけ受験に向けて勉強し、通うことになったはずの私立小学校の低学年の学力が落ちているという背景には、受験勉強のあり方が大いに影響していると思います。つらい思いをして詰め込み式の指導を受けたら、学ぶことの楽しさなど感じるはずはありません。そうした子どもたちが小学校に上がれば、学ぶことに興味を示さないのは当然です。そうした子どもたちを大量に送り込んでいるとすれば、その責任は大人にあるはずです。受験指導をする塾の教師や、塾の指導に疑問を持ちながらも従わざるを得ない保護者の考え方が代わらない限り、この現象は、ますます深刻な問題になっていくと思います。

セミナーでは実際の入試問題を紹介し、どんな能力が求められているのか、どこで子どもは壁を感じるのか、また、どんな指導でそれを乗り越えていけるのか、などをお伝えしました。結果を教え込んではいけないし、間違いには必ず理由があるので、それを子ども自身に気付かせる指導が必要であることなどを、具体例を用いて説明しました。その過程で、こぐま会の事物教育や対話教育が果たす役割をお伝えしました。

あっという間の1時間20分でしたが、セミナーの後にいただいたアンケートを読ませていただきました。皆さまが本当に子育てのことで悩み、考え、熱心に私の話を聞いてくださったことに大変感謝しております。いただいたアンケートの一部をここに紹介させていただきます。

  • ありがとうございました。自分が日々学ぶ中で、新井紀子先生や内田樹先生等、教育に関する書籍にふれる事はありますが、実際の教育に関する講演を聞く機会ははじめてでした。非常に勉強になりました。40年前自分が小学受験した時から、ずっと何らかの学びを継続してきたことを子供の人生にも与えることができればいいなぁと思います。(年中・男子)
  • 受験対策だけのつめこみ内容ではなく、子供たちのことをしっかりと考えて下さっていたことが本当に嬉しく感じましたし、安心致しました。子供に対して親の私たちができる事、してあげられる事は何だろうと改めて考えさせられました。ありがとうございました。(年中・女子)
  • 話の読み聞かせは字が読めるようになっても継続した方が良いとのお話が印象的でした。(年中・女子)
  • 小学生になっても重要になってくる、聞く力、考える力、作業する力というのは幼児教育からとても大切だと思いました。問題を解くにしてもしっかり聞いていないと答えを出せない、何をしていいかわからないということになり、「聞く力」はとても重要だと思いました。(年中・男子)
  • 小学校受験のための学習ではない、ということを繰り返しお話しされていたことが印象的でした。現在の幼稚園・保育園で行われていることが小学校へどうつながっていくのか関心がありましたので先生のお話から改めて幼児教育で大切にしたいことに気づかされました。貴重なお時間ありがとうございました。温かいお人柄素敵でした。本も購入します!!(年少・男子)
  • 楽しく学べるように ・対話教育の重要性 ・・・私の想いと同じです。(年中・男子)
  • 幼児教育の大切さ。家庭でも子供と対話しながら、具体物を使いながら行うことが大事だということが良く分かりました。(年少・女子)
  • 学ぶこと=楽しい 合格するためのペーパーではなく幼児教育の大切さの内容など ありがとうございました。(年中・女子)
  • とても有意義な講演会でした。ありがとうございました。できなかった問題に対して、こうやるんだよと教える前にどうしてこう思ったのか、聞くこと(対話教育)の大切さがわかりました(気がつきました)。今後の教育に活かしていきたいと思いました。(年中・男子)
  • 間違えた問題を教え込むのではなく、説明させて気づかせるというという方法を家でもやってみたいと思いました。とてもわかりやすく、お話ししていただきありがとうございました。(年中・男子)
  • 将来をみすえた幼児教育のあり方を学べた。都内の小学受験など具体的な例をきけて良かった。(年少・男子)
  • 幼児期の学習において学ぶこと自身に興味を持てるような学習をすることが大切! という内容が印象に残りました。(年少・女子)
  • 聞く力を育てることがとても大切だと感じました。読み聞かせをたくさんしようと思います。(年中・女子)
  • 教育の変化について、日本・世界の動きなど、子供にどう考えてこの答えになったかを説明させる(大人と子供の考えのちがい)など、とても印象に残りました。(年中・男子)
  • 教育改革について。幼児期こそ大事だということがよくわかりました。(年少・男子)
  • 自分の幼少期の幼児教育と今は考え方が全く違い、思考力・聞く力等、求められるものが多く、幼少期に何度も繰り返し学び、口に出して自分の考えを伝えるという大人が考えれば簡単な事でも、ていねいに子供に合わせて学習する事が大切であり、学習を嫌いにならない様にしていく事が親にとって大切な事だと感じました。(年中・女子)
  • 久野先生の受験のためでもあるが小学校に入ってから困らないようにするための準備学習というお話を伺い、長期的な視野でつなげる学習」というお話に感銘を受けました。また、雙葉小学校の過去問で「子供が間違えるには原因がある」とのお話、子供に説明させることで自分の間違いに気づくことがあると、子供に考えた過程を話してもらう方法を試そうと思いました。(年中・女子)
  • 小学校に入ってからも伸びつづける為に、学ぶことが楽しいと思える教育をすることが大切だとおっしゃったことが印象的でした。(年中・女子)
  • とても興味深い内容ばかりであっという間の1時間20分でした。子どもの将来の土台となるキソを作る学びを、これからも経験させていきたいと改めて感じさせていただきました。ありがとうございました。(年中・男子)

貴重なご意見ありがとうございました。広島の地に、KUNOメソッドの考え方が根付いていくことを願っています。

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