週刊こぐま通信
「室長のコラム」合格のための学習法(4) 初めての問題に対処するために
第61号 2006/06/16(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

入試を終えた当日、大勢の子どもたちから聞き取り調査をしていくと必ず、「一度もやったことのない問題が出た」というのです。何千枚ものペーパーを練習しても、「やったことのない問題」が出されるのが今の入試です。つまり、パターン練習でできてしまう問題は、極力出さないように、学校側も相当工夫しているのです。だからといって難問奇問や、小学生がやる問題が出るわけではありません。従来と同じ範囲でありながら、設問の仕方を変えたり、他の領域と複合させたりしながら、今まで一度も出たことのない問題を出すのです。その中には、私たちの作成した「ひとりでとっくんシリーズ100冊」の中からヒントを得て工夫した問題も多く見られます。
たとえば、しりとりの問題にしても、シーソーの問題にしても、四方からの観察の問題にしても・・・毎年いくつかの学校で出されていますが、同じ問題はひとつもありませんし、過去一度も出されたことのない方法での出題が多く見られます。学校側は、一度もやったことのない問題で、「聞き取り能力」と「思考力」を見ようとしているのです。
では、こうした最近の傾向にどのような対策をとったらいいのでしょうか。私たちが実践しているいくつかをご紹介しましょう。
- ペーパー学習の前に、具体物やカードを使って物事に働きかける経験を豊富にさせる。その際、いろいろな質問を投げかけ、「聞き取り練習」をしながら、どんな質問にも答えていけるようなトレーニングを積み、基礎学力をしっかり固める
- 答えの根拠を必ず説明させる。間違っている場合には、「どんな質問だったか」復唱させ、質問の意図がはっきり伝わっているかを確認させる
- 本当に思考力が身についたかどうかを点検する方法として、子ども自身に問題を作らせ、みんなの前で出題させる
- 同じペーパーを何枚か用意し、まったく違った質問をする。ペーパーを見た瞬間、自分がこれまで学習した質問を思い出し、見込み違いを起こさぬようにする。そうした中で、「しっかりと聞かなければいけない」という聞き取りの構えを作る。また、同じ趣旨の質問を、違った言い回しでする